書評/映画評

つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線

本を読む場合、「何を目的に読むのか?」が重要です。

きちんと目的を決めて本を買う人は、
「ハズレ本」に出会う確率がほとんどなくなります。

目的を決めないで本を買うと、
高い確率で「ハズレ本」になってしまいます。

脳科学本を読む人の目的は、2つに大別されます。

♯ 脳科学をビジネスや実生活に活かしたい
♯ 脳科学の知識、情報を学びたい

の2つです、

私の『脳を最適化すれば能力が2倍になる』は、
ビジネスノウハウ対脳科学致死躯の割合は、
5対5くらいのバランスで書いていますので、
「脳科学をビジネスや実生活に活かしたい」人と
「脳科学の知識、情報を学びたい」人の
両方に役立てていただくことを意識しました。

一方で、脳科学の本格的な知識を学びたいという人には、
『脳を最適化』は、多少物足りないかもしれませんので、
そういう人は、もっと専門的な脳科学本を読んだ方がいいでしょう。

そんな、本格的な脳科学本の1冊が、
この『つながる脳科学』です。

この本は、脳科学についての最前線についてまとめられています。

「理化学研究所 脳科学総合研究センター編」となっていて、
最初、どういうこと? と思いましたが、
理化学研究所の9人の脳科学者が、
それぞれの得意分野に関して、研究の最前線について要約した本です。

分担執筆という形式ですね。

私も、米国留学していたこ頃は、
「科学研究」をしていたのでよくわかりますが、
研究者というのは何でも知っているわけではなく、
専門の分野、自分の狭い研究領域に関しては、
全ての論文に目を通していますが、
同じ脳科学でも少し専門性がズレると、そこまで詳しくはないのです。

ですから、この9人の専門家が、
9つの専門分野について書くということは、とても合理的。

それによって、他の本では書かれないような、
脳科学の最先端の知識や技術について、知ることができるのです。

具体的には、「記憶」「感情」「外界とのつながり」
「脳の病と治療」「親子関係」など多岐にわたっています。

私がおもしろかったのは、
光遺伝子学(オプトジェネティクス)や
細胞を透明にするスケール技術など、
本当に最先端の技術について、
わかりやすく解説されていた点です。

脳の研究は、ここまできているんだ!
と驚かされます。

というこで、かなり骨太でマニアックな1冊となっていますが、
日本の脳科学研究の最先端にいる脳科学者たちが、
世界の脳科学研究の最先端を描き出した本として、
よくできていると思います。

ビジネスに役立つことは書かれていませんが(笑)、
脳科学の最先端を知りたい人は満足する1冊になるはずです。

『つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線 (ブルーバックス) 新書』
(理化学研究所 脳科学総合研究センター編、講談社)
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