書評/映画評

『おしゃべりな腸』【本日の一冊】

最近、「腸」についての本が、たくさん出ています。

でも、日本人の書いた「腸」の本も何冊か読みましたが、
少々物足りない印象です。

わかりやすいのはいいのですが、エビデンス不足。
科学的な研究データの紹介数も少ないので、
私としては、”腸の決定版”という本とは、出会えていませんでした。

本書は、弱冠25歳(1990年生まれ)のドイツの若き研究者がまとめた、
「腸」についての最新研究、
そして腸についての様々な雑学、トリビア。

「腸」について、知的好奇心を刺激する、
たくさんのエピソードが収録されて、
興味深く読みすすめることができます。。

#穀物は人間に食べられないよう、毒であるグルテンを種子に混ぜた
(グルテンは、やっぱり毒だった!)
#果糖不耐症はうつ病の原因になる
#食物繊維をとっても、水を十分にとらないと意味がない
#散歩程度の運動は、便秘改善に役立たない
#マウスの実験で、腸内環境を変えただけで、
記憶力、学習力がアップし、ストレスホルモンの数値が低下した
#腸と脳が最も伝え合う情報は「ホルモン」
#うつ病の原因は、脳ではなくお腹にあるかもしれない
#悪い細菌に鍛えられ、いい細菌に支えられ、私たちは生きている

私の興味、関心は、
必然的に腸と「脳」や「ストレス」との関連性に向かうわけですが、
腸が「第二の脳」と言われる理由が、
「なるほど」と理解することができました。

全体としては、「腸」を強くする方法、
「腸」を健康にする方法、便通を良くする方法なとが詳しく書かれていますので、
便通の悪い人や、お腹を壊しやすい人、下痢や便秘に悩まされている人などは、
その解決法と科学的根拠の両方を学べる本になっています。

それにしても、
25歳の若さで(本を書いたのは、おさらく1~2年前)で、
これだけ骨太な本を書いたな、という驚き。

膨大な研究論文を、この若さで読みこなしているというのが、
私も科学研究をしてきた者の一人して、
「そうとうに勉強しているな」としか、いいようがありません。

「腸」と健康について、
科学的根拠も含めてしっかりと学びたい人には
おすすめの一冊です。

「おしゃべりな腸」(ジュリア・エンダース著、サンマーク出版)

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