書評/映画評

シェイプ・オブ・ウォーター ~ 水のように心にしみる映画

アカデミー作品賞、受賞作『シェイプ・オブ・ウォーター』を見ました。

 

美しい! そして、不思議な空気感を持つ映画。

『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロ監督ならではの世界観です。

 

テーマは「コミュニケーション」。
言葉を喋れない女性・イライザとモンスターとの交流。

 

言葉を越え、
人種というか生物の種を越えた交流。
非言語的コミュニケーションの力。

 

そう、エイリアンと言語学者のコミュニケーションを描いた
『メッセージ』を思い出します。

 

タイトルの『シェイプ・オブ・ウォーター』。直訳すると、水の形。
水に形などありませんから、いかようにも変化するのが水。

 

人種、身分、職業、身体障害など様々な差別、偏見が描かれますが、
それらは、もともとそこにないものに勝手に「形」を見出している、
というだけの話。

 

形や常識にとらわれた考え方、生き方の
苦しさ、つらさが描かれます。

 

劇中内の映画、映画館、ミュージカルシーンなど、映画愛にもあふれる。

 

いろいろな見方、楽しみ方ができる作品。
これぞエンターテイメントという感じ。

 

爽やかな感動につつまれ映画は終わりますが、不思議と涙は流れなかった。
多分、心がとてもハッピーになったからかな。

 

『パンズ・ラビリンス』(2006年)を見た後、
ものすごく陰鬱な気分になったことを思い出しますが、
それと比べると『シェイプ・オブ・ウォーター』は、
ポジティブで前向きなエネルギーにあふれている。

 

予告編はブルーな印象ですが、
全てに前向きで、ポジティブな主人公イライザ。

そして、BGMもアップテンポ。
深く悲しいテーマを、明るく描ききっている。

 

水のように心にしみる、いい映画だと思います。

 


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