書評/映画評

『うつヌケ』〜 「治るイメージ」がもてれば病気は治る

うつ病の患者さんは、
どこまでも抜けられない「暗いトンネル」を
一人で歩いている孤独感にさいなまれています。

一体、このトンネルはどこまで続いているのだろうか。

ひょっとして、一生、このトンネルを抜けられないのではないか。
そう考えて、絶望し、自殺してしまう人もいるのです。

自分が、うつの「トンネル」のどの辺を歩いているのか、
それがわかるだけで気分は物すごく楽になります。

ようやく、半分くらいまできたか。
もう少しで、トンネルが抜けられる!

それがわかるだけで、不安は取り除かれ、
気分はものすごく楽になります。

うつ病の体験者の話を聞くと、
うつの「トンネル」の抜け方がわかるのですが、
身近にそういう人がいないと聞けません。

うつ病の体験者が書いた「闘病記」というのが
たくさん出版されているので、それを一冊読むだけでも、
うつの「トンネル」の抜け方がわかるのですが、
意欲も集中力も低下しているうつ病の患者さんが、
本一冊を読破するのは、とても難しい話です。

『頑張らなければ、病気は治る』(あさ出版)
https://impulse-ex.com/L2334/h11501/37281

私も、患者さん向けに、病気を治す方法を出していますが、
なかなか患者さん本人に読んでみらうことができていません。

精神科医が書いた本、というのも、敷居が高いのでしょう。

でも、「漫画」なら読めるかもしれません。

『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』は、
漫画家の田中圭一氏、自身。そして彼が取材した
うつを抜けた著名人の「うつ抜け」の体験談を、
わかりやすく漫画としてまとめたものです。

うつ病の患者さんがこの本を読むと、
「ああ、自分だけでなく、他の人も同じ症状で悩んでいたのか」
「ああ、今は、うつのトンネルのこの辺にいるな」
ということが、よくわかるのです。

そして、十数名の、それぞれ異なる「うつの抜け方」のどれかに、
自分にもできそうな「うつヌケ」のヒントが隠されているはずです。

ミュージシャンの大槻ケンヂ氏。
「私をスキーに連れてって」の脚本家、一色伸幸氏。
AV監督代々木忠氏など、
我々も知っている著名人が多数登場しているので、
「この人もうつで悩んでいたのか」と共感して読むことができます。

また、一人の体験は、8〜10ページと、
非常にコンパクトにまとめられています。

これですと、注意力、集中力が散漫で、意欲もない、
うつの患者さんでも、無理なく読めると思います。

一人当たりのページ数は少ないのですが、
情報量はギュッと濃縮されていて、
うつ病の治し方について、
いろいろと学べる仕組みになっています。

また、登場する人物が、
手塚治虫が描くキャラクターに似ているので、
どこか親近感を持ってしまいます。

うつ病で悩んでいる方が読むと、
必ず勇気がもらえる本。

うつ病治療の「ホームラン本」と言えるでしょう。

『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』
(田中圭一著、KADOKAWA)
https://amzn.to/2kbCEqy