精神医学心の話

緊張が「味方」である脳科学的根拠とは

学生時代に受けた模擬試験。
模擬試験に出た問題が、本番の試験で出たとき
「あっ、これは模擬試験で出た問題と同じだ!」
とうれしくなった体験があるはずです。

普段、家で問題集を解くよりも、
「模擬試験で出た問題」の方が、圧倒的に記憶に残りやすいのはなぜでしょう?

その理由は、「ほどよい緊張感」にあります。

ほどよい緊張の状態では、

脳内にノルアドレナリンという物質が分泌されています。

ノルアドレナリンは扁桃体や海馬において
他の神経伝達物質やホルモンなどと相互作用し、
長期記憶の形成を促進します。

長期記憶形成において、非常に重要な脳内物質なのです。

「緊張したらどうしよう」と私たちは緊張を心配し、
緊張を嫌い、緊張を「敵」のように思っている人も多いでしょうが、

「ほどよい緊張」は、私たちの「心強い味方」だったのです。

さらに、ノルアドレナリンは、
「作業記憶(ワーキングメモリ)」とも密接に関係しています。

いわゆる「テンパる」という状態は、

ノルアドレナリンの過剰分泌によって、
作業記憶がうまく働かなくなってしまった状態です。

「ほどよい緊張」を超えて「極度の緊張」に陥ると、
「頭が真っ白」になり、脳のパフォーマンスは著しく低下します。

緊張感がない状態よりも、
適度な緊張感の方が脳のパフォーマンスは高まる。

しかし、極度の緊張感では、
脳のパフォーマンスは下がってしまう。

これは、心理学実験によっても証明されていて
「ヤーキーズ・ドットソンの法則」といいます。

心理学者のヤーキーズとドットソンのネズミを用いた実験。

ネズミに黒と白の目印を区別するように訓練し、
ねずみが区別を間違えた時には、電気ショックを流します。

電気ショックの強度を強めていくと正答率がアップするものの、
最適な強さを上回ると逆に正答率が低下することが分かりました。

つまり、電気ショックの程度が適度な時に
ねずみは最も早く区別を学習し、

逆に電気ショックが弱すぎたり強すぎたりすると、
学習能力は低下するのです。

つまり、
ストレス、緊張感、罰など不快なものは多少あったほうが、
学習効率は高まるのです。

「緊張」は「敵」と考える人は多いのですが、
「過剰な緊張」が「敵」なのであって、
「適度な緊張」は、私たちの強烈な味方となります。

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