精神医学心の話

精神科医が薬を中止しない理由

「先生に薬を止めたい、と相談しているのに、
 全く話を聞いてくれない」
という話はよく聞きます。

精神科において、よくある話です。

いろんな病気があり、処方されている薬の種類も違うので、
一概には言えませんが、
「うつ病」に対する抗うつ薬の治療でいうと、
うつ症状が消失後に薬を止めた場合どうなるかというと、

 3分の1が、すぐに悪化
 3分の1が、数ヶ月後、あるいはそれ以後に再発
 3分の1が、問題なく経過する

と言われています。

ザックリいえば、薬を止めると3分の2が、再発、悪化します。

その場合、せっかく、1年、2年と治療していたものが、
「ふりだしに戻る」になってしまうのです。

3分の2悪化する、というリスクをとってまで、
薬中止のチャレンジするのか?

そのように考えるので、
精神科医は「薬の中止」に消極的な場合が多いのです。

患者さんは「病気がよくなった」と思っていますが、
「薬が効いているだけ」のことが多い、

その場合は、薬をやめたとたんに悪化します。

では、いつまで薬を飲み続けるんだ!!
という話になりますが、

私の場合は、患者さんが薬の話をしなくなったときに、
減薬や中止することが多いです。

「薬を減らしいてほしい!」という患者さんは
病気を治すことに「焦り」を感じている。

そうした状態では、自分の病気が良いのか、悪いのか
正しくモニタリングできていない場合が多く、
調子が悪くても、
「たいしたことがない」と思い込んで主治医に言わない。

結果として、減薬、薬の中止が失敗することが多いのです。

ということで、
「あまり薬の減薬、中止は焦らないほうがいい」
というのが、私の見解です。

追伸

ただし、睡眠薬や安定剤などの「対処療法的薬物」に関しては、
長期に飲むのはよくないので、
できるだけ早く、減量、中止した方がいいと思います。

 



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