書評/映画評

「まいたの」的映画術 直感で映画を選んでみる

とある映画のポスターを見ました。

私の大好きな映画監督
アンドレイ・タルコフスキーの1シーンを彷彿させた。

その瞬間、
「これは、見に行かねば!」と思いました。

その作品は、『MEMORIA メモリア』

映画の説明を読むと、
「2021年・第74回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞」とあります。
これは、間違いなさそうです。

ティルダ・スウィントン主演。
(『サスペリア』『ナルニア国物語』)

南米コロンビアを舞台にしている、
というのも不思議な感じです。

普通だと、ここで予告編を見るのですが、
もう「見る」と決めた以上、
予告編で予備情報を入れる必要はない。

むしろ、「映像的驚き」を減じてしまうので、
見る必要はない。いや、見ない方が良いのです。

私がアンドレイ・タルコフスキーが好きなことは、
あまり言っていないかも知れません。

映画『ノスタルジア』は、最高傑作と思います。
(一般的には『惑星ソラリス』が有名)

雨、流れる水、霧などの幻想的な映像と長回し。
ストーリーは難解ですが、圧倒的に映像で伝えているので、
非常に腑に落ちるのです。

『MEMORIA メモリア』を見始めます。

いきなり、長回しのシーンから始まり、
強烈な「眠気」に襲われます。

この「眠気」というのも、
タルコフスキー作品に共通するもの。

長回し映像へのこだわり。
幻想的、アーティスティックな映像。
なかなかの見応えです。

しかし、内容は「哲学的」というか、かなり難解です。

ジェシカは、ある朝、大砲のドーンというような「轟音」を聞きます。
その轟音に悩まされるジェシカ。しかし、その音は、他の人には聞こえません。

それは、幻聴なのか? 彼女は精神に異常を来したのか。
その「音」の正体は、何なのか?

意外すぎる結末に、驚かされます。

本作のおもしろさは、言語的に説明されない部分になります。

「映像」「音」、あるいは「触感」(さわった感じ)のようなものを
映像的に表現している。

非言語的に映画が構成されていて、実は作品のテーマも、
「非言語的なメッセージ」に関わってくる当たりが、うならされます。

ある意味、難解。
しかし、感覚的には理解できるはず。

よくこんなストーリーを考えついたものだ。
映像も美術館に迷い込んだかのような、不思議な体験をした。

カンヌ国際映画祭、審査員賞を受賞しただけあって
アート系映画が好きな人には、はまりそう。

ただ、娯楽映画が好きな人には、
全く理解不能な作品かもしれない。

タルコフスキー的な世界観を久しぶりに味わえただけで
私は幸せだ。

樺沢の評価は・・・・・・ ★★★★☆ (4・4)

直感で映画を選んで大成功した!

直感とは、「無意識の検索結果」だから、
たいていの場合は「正しい」。

遊びに関しては、「おもしろそう!」と思ったら、
積極的に楽しむべき。

遊びにリスクはないのだから。

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