書評/映画評

グリーンブック ~自己開示で人間関係は深まる!!

アカデミー作品賞受賞作
映画『グリーンブック』を見ました。

黒人ピアニスト(シャーリー)と白人のボディーガード(トニー)が、
黒人差別の厳しい、60年代、アメリカ南部を旅する話。

このあらすじを聞いただけで、ちょっと気分が重くなります。

人種差別を描いたアカデミー作品賞の映画というのは、
『ムーンライト』(2017年)、『それでも夜は明ける』(2014年)
など、激烈な差別描写で、見終わったあと具合が悪くなり、
その後、何日も気が滅入った状態が続くものが多いからです。

しかし、『グリーンブック』は良かった。
主人公の二人のやりとりが軽妙で、随所に笑いが盛り込まれている。

ロードムービーということで、
アメリカの美しい風景が随所に挿入されるのも良い。

最初は、ぎくしゃくして明らかに心の壁があったのが、
徐々に打ち解け、親密になり、単なる仕事上の関係から、
一人の人間と人間、友情関係が出来上がっていく、という。

もちろん、辛辣な差別描写もありますが、
この映画では同性愛の問題が描かれていたり、
トニーが「イタ公」と言われてブチ切れるシーン、
あるいは富裕層と貧困層の格差。

つまり、黒人差別以外の差別、偏見というものも
同時に描かれています。

私は、「差別」をテーマにした作品というよりは、
ピアニストとして成功したシャーリーの「孤独」の物語、
として見ました。

成功者としての孤独。
家族がいないという孤独。
黒人としての孤独。

いくつもの孤独が重層的に描かれていて、
それが一つひとつ、トニーとの関わりの中で癒やされていくのです。

そして、重要なキーワードが「自己開示」。

お互いに「自己開示」を繰り返すことで、 人間の親密度が深まっていく。

『アウトプット大全』でも書きましたが、
「自己開示」って重要です。

「自己開示」というキーワードで『グリーンブック』を見ていくと。
シャーリーとトニーの「自己開示」の往復によって、
構成されているのです。

その点でいうと、 2011年のアカデミー作品賞を受賞している
『英国王のスピーチ』とも、構成が似ています。

最初は、互いに警戒しあって、自分を出そうとしませんが、
失敗やトラブルなどのエピソードを通して、
相手の意外な一面が見えてくるのです。

「 自己開示」をすることで親密度がアップする。

その意味でいうと、
「喧嘩」や「言い合い」や「仲違い」というのは、
必ずしも「悪いこと」ではなく、
人間関係を深めるためには必須、という見方もできます。

見ていてホッとするのは、主人公の二人が意外と頑固でない
という点。

有名ピアニストのシャーリー、無骨なボディーガードのトニー。
二人ともかなり頑固そうにみえますが、
意外と相手の言葉に耳を貸すし、
互いのアドバイスを取り入れていく。

つまり、スタンスが「中立(ニュートラル)」なのです。

「中立(ニュートラル)」な人が、人と仲良くなれるし、
人と関係を深めることができる。

「中立(ニュートラル)」の逆は、偏見であり、先入観であり、
そうしたスタンスが「差別」につながっていくのです。

ということで、心理学的にも考えられている。
笑いもあり、見ていてホッコリできる映画。
おすすめです。

『グリーンブック』 樺沢の評価は、・・・ ★★★★(4・4)

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コメント

  1. 比嘉 より:

    すごく分かりやすくて、是非作品を観てみたくなりました。

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