書評/映画評

日本人は明るい映画が好き、アメリカ人は暗い映画が好き

最近、結構 映画を見られていて、
充実な日々を過ごしています。

アカデミー主演男優賞、脚本賞受賞作。
映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』。
やっとみました。

いい映画です。
しかし、暗い。そして、苦しい。

正直言って、私の苦手なパターンです。
素晴らしい映画なのですが、苦しすぎます。

過去のトラウマと向き合い、もがく主人公。
あまりにもつらすぎる。

私は、共感が強い方ですし、
トラウマ患者の心理もわかるので、

「つらすぎて、胸が張り裂けそうで、正直、見ていられない」
というのが率直な感想。

それだけ、トラウマを持つ人の心理をリアルに描いている、
ということですから、脚本賞の理由もわかりますし、
迫真の演技だから主演男優賞なのですが、
だからこそ、つらくて見ていられないという。

先日見た、アカデミー作品賞受賞作の
『ムーンライト』もそうでした。

学校ではイジメにあい、家では母親から虐待を受ける。
最悪の状況におかれた黒人の少年が、
見つけた唯一、月明かりのようなかすかな希望とは・・・。

いい映画です。
しかし、つらすぎるのです。

映画の9割は、イジメや虐待シーンの連続。
だからこそ、「かすかな希望」が際立つのもわかりますが、
お金払ってまで、これほど苦しい思いをしたくない、
というのが正直な感想。

2014年のアカデミー作品賞受賞作
黒人奴隷の話『それでも夜は明ける』。

あるいは、
カトリック教会の児童への性的虐待を描いた
『スポットライト 世紀のスクープ』も、
気分が落ち込む映画でした。

最近のアカデミー賞に選ばれる作品は、
「暗い映画」が多くて、
日本で公開されても全くヒットしません。

アカデミー賞、あるいはアメリカ人は「暗い映画」が好きなのです。

一方、日本人は、「暗い映画」が大嫌いです。

せっかく映画を見るのだから、
お金を払ってまで暗い気持ちになんかなりたくない、
いう人が多いのでしょう。

日本人が明るい映画が好きで、アメリカ人は暗い映画が好き。

なぜなのでしょうか?

これは、国民性。
それぞれの性格的な基盤にあると思います。

アメリカ人というのは明るく陽気。
くだらないジョークを飛ばして、ある意味バカっぽい。
それが彼らの日常です。

だからこそ、時々、シリアスな映画を見て、
センチメンタルな気持ちになったり、涙を流したい、
という欲求があるのではないでしょうか。

アメリカ人は、本の中でも「伝記」が大好きで、
本屋の「伝記」の売り場スペースが半端ないのですが、
それも同じ理由で、「伝記」には「苦労話」が多いのです。

そこに共感し、しんみりとした気分になりたい、
という欲求があるのでしょう。
 
一方、日本人は、落ち着いた性格です。
悪くいうと、根暗。抑うつ的。
仕事や子育て、いろいろなストレスで疲れていて、
普段からウツウツしています。

ですから、
せっかく映画を見るのなら、痛快な娯楽大作や、
感動ものにしても『美女と野獣』『アナと雪の女王』のような
明るい気持ちになれる作品を好むのです。

普段からウツウツしているのですから、
わざわざお金を払ってまで、それを追体験する
「苦しくて暗い映画」を見たいという人は少ないのでしょう。

お笑い番組が人気なのも、
仕事で疲れて帰ってきて見るには、最適だからでしょう。

何事もバランスなのです。
感情のバランスをとることが、人間の精神安定には必要なのです。

外交的で活発に飛び回っている人は、
ときに落ち着いて考え事をすることが「癒やし」につながります。
 
内向的でも引きこもりがちの人は、
たまに人とあって話すことが、「癒やし」につながります。

自分の感情のバランスをとる。

映画に限ったことではありませんが、
自由時間、娯楽時間の使い方として、

普段と真逆の精神状態を体験する、
というのは、かなりの「癒やし」につながる、
 
と覚えておくといいでしょう。



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