昨日
映画『小説の神様 君としか描けない物語』、
公開初日にして、観客8名・・・。撃沈。
私の見た回だけの情報だが、
どうみても興業的に失敗確実であろう。
だからこそ応援したい気持ちにもなる。
私の過去の傾向からしても、大ヒット作品よりも、
こうした全くヒットしない作品の中にこそ、
自分の好みにあった個性的な作品があったりするのだ。
佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)、橋本環奈主演。
予告編を見る限り浅薄な青春映画にしか見えないのだが、
「何か」があるような直感がして、
公開初日に映画館に足を運んでみた。
そして、この映画には、私が求めていた「何か」があった。
「ディープで売れない小説家」一也(佐藤大樹)の
「ドSな人気小説家」詩凪(橋本環奈)。
2人の高校生小説家が、あるきっかけで「共作」をすることになる。
2人が同級生とか、かなりベタベタな青春映画の設定でハラハラするが、
内容は実にディープである。
この作品は、「書くことについて」をテーマにしている。
書くことの「つらさ」「たいへんさ」「プレッシャー」、
そして書くことの「楽しさ」「喜び」の両方をいくつかの視点から描いている。
これは、「書くことについて」、実際に自分で書き続けながら、
何年も何年も研究し続けてきた「作家」の私から見ると、
「圧倒的に共感できる」としかいいようがない。
他の人がどう見るかは、わからないけども。
単なる表面的な物ではなく
「書く」ことの本質を突くようなセリフが随所に出てくる。
例えば、冒頭の詩凪の「あなた、小説の神様を信じてないの?」
というセリフには、橋本環奈のハスキーなヴォイスもあって、
ドキッとする。
「小説の神様」とは何かは、最後まで見ればわかるが、
結局のところ自分の持つ「言葉」の力、
「物語」の力。自分自身。
そして、書き続けることで「いつか良い作品が書けるのだ」
という根拠のない確信がなければ、
作家なんかやっていられない。
本作では、自分が持つ「言葉」や「物語」の重要性が
しっかりと描かれている。
「失敗なんか怖れずに、
もっと自分を信じればいいのに」と言いたくなるが、
それができれば世の中苦労しない。
ほとんどの人は「自分を信じられない」し、それが普通。
本作の良いところは、ラブストーリー的ではあるが、
ラブストーリーにしていないところ。
ラストシーンを見れば、それが歴然とわかる。
あくまでも、作家としての「自立」や「書く」ことの困難が
メインとして描かれている点は、
山ほど作られている青春ラブストーリーとは一線を画す。
主人公一也の父親は「売れない小説家」であり、
そんな父親を非難するセリフもあるが、
結果的に自分が「小説家を目指している」という時点で、
彼にとっての父性的な存在であった、ということ。
そんな心理描写などか、深く描きこまれている。
橋本環奈が超美人でキュート。
EXILEの佐藤大樹も頑張っているし、
和久井映見の母親役もいいし、
脇役陣一人一人が個性的で印象的。
映像的にも冒頭部分がモノクロで展開したり
様々な工夫がされていて見ていて飽きない。
この映画で泣くとは思っていなかったが、
最後は感動した。
この作品の冒頭部分に、「小説が好きですか?」
というセリフがあるが、
小説が好きな人は本作は楽しめるのではないか。
逆に、読書をほとんどしない人は
全く共感できないかもしれない。
本作を通しては、
「書くことについて」改めて考えてみるのもいいだろう。
『小説の神様 君としか描けない物語』樺沢の評価は・・・ ★★★★ (4・3)
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