書評/映画評

医者が教える食事術 最強の教科書〜本当に正しい食事術とは?

健康になる習慣ということで、
私は「睡眠」「運動」を強調していますが、
「食事」についてはあまり書いてきませんでした。

その理由は、
「食事」については、非常に多くの研究があり、
相反する結果が出ているものもあります。

その場合は、どちらの研究結果を正しいと判断するのか、
非常に難しいです。

あるいは、食事には目的があって、
ダイエット、痩せるための食事と
脳を活性化するための食事というのは、
違った側面があります。

ということで、私自身、多くの「食事本」を読みながら、
自分自身でいろいろな「食事」を試しながら、
試行錯誤しているところ。

現時点で、信憑性のある研究結果、
エビデンスをまとめた決定版のような食事本が
いつかは出るだろうと思っていましたが、
ついに出たかというのが、この本。

『医者が教える食事術 最強の教科書
─20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方』
(牧田善二著、ダイヤモンド社)
https://amzn.to/2C4IBha

欧米人が書いた食事本の決定版、
何冊かありましたが、
日本人と外国人は食事に対する影響が違います。

欧米人は、肥満に強く、
日本人よりも糖尿病になりづらいので、
欧米人にとってベストの食事が、
日本人にベストの食事とはいえません。

ですから、日本人を対象にした研究を中心に、
エビデンスを整理する必要があるのですが、
まさに本書は、そういう本になっています。

本書で推奨される食べ方の基本は、
「縄文人が食べていた食事」と「糖質制限」です。

糖質を制限しながら、
各種、健康に良い食材をとっていきましょう、
というスタンスです。

そして、
第1章で「食事術の基本」を語り、
そのあとの各章で
「やせる食事術」
「パフォーマンスを最大化する食事術」
「ふけない食事術」
「病気にならない食事術」
「長生きする食事術」
と、目的別の5パターンの食事術が紹介されます。

私は、以前から、
何を目的にするかによって、理想の食事は変わってくるので、
食事術は目的別に論じなければいけない、
と考えていましたが、本書は全くそうした考えで作られています。

つまり、
今まで山ほど食事の本はありましたが、
それぞれ
「やせる食事術」や「アンチエイジングの食事」「長生きする食事」など
一つの目的に特化して食事が語られている本がほとんど。

本書のように、目的別に、それもほとんど全ての目的といえる
「5パターン」に分類して論じている本は、私の知る限り初めてです。

また、この「章立て」が非常に読みやすく、
頭にスーツと入ってくる。

著者だけでなく、編集者の本書に対する半端じゃない
「力の入れよう」が伝わります。

本書を読んで、私の今までの常識と違った点。
新しい気付き。
やっぱりそうなのか、という再認識など、メモしておきたいポイントを
列記してみます。

#プロテインは腎臓を壊すので飲むな!
#ココナッツオイルに発がん性が疑われている。
#疲れたときに甘いものをとるのは逆効果。
#パンと一緒にオリーブオイルをとると血糖上昇を抑える。
#白ワインは、血糖を下げて、痩せる効果かある。
#大豆は完璧な食べ物。大豆製品(納豆、豆腐など)は毎日、食べるべき。
#根菜類は、野菜と思っている人が多いが、意外と糖質が多い。
#玄米や全粒粉も糖質なので、食べ過ぎには注意する。
#菓子パンは命を削る食べ物
#ポテトチップスは悪魔の食べ物
#朝昼夜の食事配分は、3対5対2が理想
#お酒は悪くない、ワイン、蒸留酒はやせる効果がある。

などです。

個人的には、動画収録の前や最中など、ものすごく疲れた時に、
菓子パンを食べることがあるので、それはやめようと思いました。

あと、ウイスキーのつまみにポテトチップス。
これもほどほどにしようと思います。

野菜は多めにとるようにしていますが、
「根菜類」も多くとっているような気がしますので注意します。

私は、白米ではなく「発芽玄米」を食べていますが、
玄米だから安心と、しっかり食べてしまっている気がしました。

ということで、知っていることが多いのですが、
最新のエビデンスに基いて、「やっぱりそうなのか」と
多くの軌道修正が得られました。

随所に論文が引用されており、
引用元の論文の掲載雑誌なども引用されているので、
エビデンスの盤石さが感じられます。

一点のみ気にかかったのは、
著者は「糖質制限」推奨派であるわけですが、
最近言われている「糖質制限をすると寿命が短くなる」という研究への
言及や反論が全くないという点です。

この部分だけクリアしていれば、完璧な食事本と言えたでしょう。

食事に関する研究の膨大なエビデンスを
非常にわかりやすく整理して伝えている。

「食べてはいけない食品」「食べるべき食品」
大体のイメージを持つだけでも、
かなり健康に対する影響は違うと思います。

私も、「食べてはいけない食品」をいくつか摂取していましたので、
食生活を是正していきたい。

そんな、「気付き」を与えてくれた本。

読んで損のない、
ホームラン本だと思います。

『医者が教える食事術 最強の教科書
─20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方』
(牧田善二著、ダイヤモンド社)
https://amzn.to/2C4IBha