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変わる力、父性の時代

中国、上海視察。

 

いろいろ珍しいものを見て、おもしろい話を聞きました。
そのうちの一つをシェアします。

 

中国の一つの悪いイメージ。

「喫煙率が高く、喫煙のマナーも悪い」というのがあります。

 

昔、中国を訪れた時は、いたるところでタバコを吸っていて、
吸い殻も平気でポイ捨てしていました。

 

今回の中国視察で同行した仲間も、同じ印象を持っていました。

 

しかし、今回の上海視察では、タバコを吸っている人を全く見かけない。

 

いや、厳密に言うと、数回は見かけましたが、
ほとんど見かけないことに気付いたのです。

 

一体、上海で何が起こったのか・・・。

 

在中国10年以上の日本人のビジネスマンが教えてくれました。

 

2017年3月1日。
中国、上海で「世界で最も厳しい禁煙令」(条例)が実施されました。

 

飲食店はもちろん、オフィス、ホテル、カフェ、
全ての室内での喫煙が禁止されたのです。

 

この条例に違反すれば個人で最高200元(約3500円)、
事業者で最高3万元(約50万円)の罰金が科せられるとのこと。

 

結局、この条例が施行されて、どうなったのか・・・。

 

翌日から、室内で喫煙する人は、全くいなくなったそうです。

 

屋外では吸えるそうですが、
展示会の会場でも吸っている人は、とても少なかった。
この条例を機に、禁煙した人も多いのでしょう。

 

この話を聞いて私が思ったのは、
「一党独裁のメリット」、ということです。

 

一党独裁の共産主義が、決して悪いことばかりではない。
何か物事を変えていくのに、猛烈なスピードで達成できる。

 

都市開発なども、政府の命令、あっという間に進むそうです。
(そもそも、中国では、土地の所有が認められていないので)

 

日本の「受動喫煙防止法」は、
完全に骨抜きになってしまいましたが、
それと比べるとよくわかります。

 

反対意見に耳を傾けたり、調整したりすることは、
もちろん大切なことではありますが、
あまりにも配慮しすぎていても、何も物事が変わらない。

 

本当に重要なこと。大義のあることに関しては、
リーダーシップを発揮して、スピード感を持って変えていく
ことも必要だと実感しました。

 

日本は、「守る力」が強い。
歴史や伝統を守る。とても大切。

 

しかし、不合理なことがたくさん出ても、
それを変えられないというのが、ものすごい弱点。

 

中国は、「変える力」が強い。
スピード感を持って、政治、経済の対策を行うことができる。

 

ただ、リーダーが間違った方向を目指さない、
ということが大前提。

 

どちらにも、長所、短所があるわけですが、
これからAIを中心に、
テクノロジーが猛烈に進化する時代においては、
「変える力」がないと、時代の変化についていけない。

 

今のままだと、日本は経済的、そして技術的にも、
世界から取り残されていくことは間違いないでしょう。

 

何かを変えないと・・・。

 

国家、政府にどうこう言ってもしょうがないけども、
少なくとも「自分」(個人)のレベルで「変える力」を身につければ、
逆に日本の社会で、トップに躍り出ることは簡単。

世界の舞台でも戦えるはずです。

 

ちなみに、「守る力」は「母性」、「変える力」は「父性」
関しています。

 

河合隼雄も指摘しているように、
日本は昔から「母権社会」と言われ、
会社、組織、そして家族でも「守る力」が強いからなのです。

 

しかし、これからのAI時代、国際化の時代で必要になるのは、
「変える力」、つまり「父性」なのです。

 

いろいろな意味で、「父性」がキーワードになってくることは、
間違いないでしょう。

 

追伸

「父性」について、さらに詳しく知りたい人は、
映画、アニメを題材に、「父性」についてわかりやすく解説した
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最高傑作と評価する人も多い一冊です。