書評/映画評

バンブルビー ~アクション映画じゃないからおもしろい!

【ストーリーについて言及しています】

アクションが少ない!!

だから、とても良かった。

今までのトランスフォーマー的な派手なアクションを期待した人は、
少々ガッカリしたかもしれませんが、
アクションばかりで人間描写が薄い映画が嫌いな私としては、
少女とロボットの友情をどストレートに描いた本作にしびれました。

「アクション」自体には、何も意味がないのです。

「人生」とか「愛」とか「運命」とかを賭けて戦うからこそ、
「アクション」×「心理描写」で、
圧倒的な面白さと感動が生まれます。

『アベンジャーズ』などのアメコミものは、
ありとあらゆるパターンをやり尽くしてしまったために、
何を賭けて戦うかの掛け算が「世界を救う」とか「人類を救う」とかか
あまりにも壮大になりすぎてしまっている。

結果、現実離れしてしまい、「共感」不能。
興ざめするしかないのです。

『バンブルビー』では、「大切な人を守るために戦う」
という、原点帰りのようなシンブルなストーリーなので、
とても共感しやすいのです。

18歳の高校生チャーリー。
父親の死をきっかけに人間不信に陥り、
「機械」いじりをする毎日。

友達もいない「孤独」な状態。

そんな彼女の前に、
自動車に返信する能力を持ったロボット「バンブルビー」が現れます。

仲間と別れ、記憶を失った孤独なロボット「バンブルビー」と
「機械好き」で孤独な高校生チャーリーは、共通点も多く、
二人の間に友情が生まれていきます。

アクション映画、SF映画というよりは、
「青春映画」のノリでストーリーが進むところが良いですね。

チャーリーとバンブルビーが出会い、
関係性を構築していく場面は見応えたっぷりです。

発生装置を破壊された「バンブルビー」は、
チャーリーの言葉を理解するものの、
「うなづき」や「ゼスチャー」などでコミュニケーションするしかない。

そう! 
「言語的コミュニケーション」に頼らない
「非言語コミュニケーション」。

バンブルビーの愛らしい動作や表情から、
チャーリーは彼が危険なロボットではないことを
すぐに察知するのです。

やがて、「ラジオ」の音声や「音楽」の歌詞の一部分を活用して、
「言語的コミュニケーション」が
とれるよう進化していく「バンブルビー」。

「言語的コミュニケーション」が加わることで、
二人の交流は深まり、友情はさらに深まっていきます。

一方、バンブルビーを追跡してきた敵「ディセプティコン」のロボットと
米軍は遭遇します。

米軍のパウエル博士は、
「地球外生命体との初コンタクトになる!」と興奮するものの
意外にもディセプティコンは、英語をペラペラと話し始めます(笑)。

コミュニケーションは円滑に進んでいるように見えましたが、
米軍は、ディセプティコンの「嘘」に、
まんまと騙されることになります。

非言語でコミュニケーションしたチャーリーは
しっかりと交流関係を作ることができたにもかかわらず、
言語でコミュニケーションした、
パウエル博士はまんまと騙されてしまった、
という「対比」がおもしろいのです。

言語情報はあてにならない。
非言語情報の方が、本質的。
ということを、暗に語っているように思います。

あるいは、ディセプティコンの前で、
バンブルビーの記憶回路から、
オプティマスプライムからのメッセージが流れてしまい、
彼の秘密司令(言語情報)は、全て敵にバレてしまいます。

「言語情報」というのは、伝わりやすい。
けども、敵でも味方にも、誰にでも伝えてしまう、
という「言語情報」の「両刃の剣」の一面が描かれます。

発生装置が壊れて声が出ないというバンブルビーの設定を、
本作では、その「原因」の出来事を示すとともに。
「非言語コミュニケーション」VS「言語コミュニケーション」の
壮大なドラマに仕上げている!

という点で、心理学的にとてもおもしろい。

ロボットであるバンブルビーが、
人間以上に人間的で、引き込まれるのです。

ということで、
普通に見てもおもしろいですが、
「非言語コミュニケーション」という切り口で見ると
二倍楽しめるのが映画『バンブルビー』です。

『バンブルビー』 樺沢の評価は・・・  ★★★★(4・1)

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