書評/映画評

騎士団長殺し、読了。

やれやれ、6週間もかかりました。

村上春樹の4年ぶりの長編小説。
『騎士団長殺し』をようやく、読了しました。

発売された当日に購入したものの、読み終わるまでに
こんなに時間がかかるとは・・・。

というか、過去の春樹作品は、
たいてい2週間から1ヶ月くらいかけて読んでいるかな。

なので、6週間というのは、想定の範囲内。

でも、下巻に入ってからはペースアップして、
下巻の中間あたりからは、読むのがやめられなくなって、
読み終わったら、午前2時半になっていました。

まだ読み終わっていない人も多いでしようから、
あまり内容については深く書きませんが、
とりあえずザックリとした感想、印象だけを書かせていただきます。

まず、『騎士団長殺し』について、一言で言えば、
ついに村上春樹は、「父性」のテーマの決定版を書いた
ということ。

それもわかりやすく、かなりストレートの直球勝負でした。

よく、

村上作品には、「父性」は登場しない。
というか、
父性原理を否定することが、村上作品の特徴である。
という研究者もいますが、

本作においては、
あきらかに「父性」をめぐる冒険になっている。
と、私は読みました。

私も「父性」研究家の一人として、
映画における父性を詳しく研究した
『父親はどこへ消えたか 映画で語る現代心理分析』
https://amzn.to/2p7WqoF
という本も書いています。

『騎士団長殺し』は、難解で、わけがわからない
という人もいるでしょうが、
『父親はどこへ消えたか』を読んでいる人にとっては、
非常にシンプルでストレートな話として
理解できるのではないでしょうか。

本を読む前から予想していました。
『騎士団長殺し』=「父親殺し」を、
強烈に連想させるな・・・と。

もっと詳しく『騎士団長殺し』と「父性」について
論じたいところですが、また後日にしておきます。

感想だけ述べると、
村上が「父性」の領域に足を踏み入れた、
画期的であり、刺激的な作品である。

そして、過去の作品の抽象的な部分、
あるいは「謎」として提示されていた部分が、
本作品で再構築され、答えが提示されている。

集大成といっては大げさかもしれませんが、
過去の村上作品を総括するような作品として、私は読みました。

下巻の後半からは素晴らしく、最後に行けばいくほど
感情が激しく揺さぶられる。

最後の5ページほどは、目から涙があふれ出し、
字が読めなくなりました。

小説で、こんな体験はしたことがありません。

まさに、圧巻。
このラストは、いろいろな意味で凄いと思いました。

さて、詳しい分析、私の「謎解き」を書くには、
少々時間が必要なので、
また後日の楽しみにとっておきましよう。

あなたも、村上ワールドに足を踏み入れませんか?

『騎士団長殺し』(村上春樹著、新潮社)
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