書評/映画評

グレイテスト・ショーマン 〜 魂を揺さぶられる映画

魂を揺さぶられる映画を見た。
『グレイテスト・ショーマン』。

 

 

 

大きな夢を実現する話かと思いきやそうではない。
大きな夢を実現するよりも、
「今、そこにある幸せに気づけ!」というテーマが心に刺さる。

 

圧倒的な人間肯定。
究極のポジティビティ。

 

そして、人種や外見による差別、偏見が描かれる。
自分を信じ、助け、肯定してくれる「仲間」の素晴らしさ!

 

5回泣きました。

 

ストーリーはシンプルですが、
「楽曲」のパワーとテンポのよい映像、編集でグイグイ引きつけます。
これぞミュージカルという一本。

 

ファーストシーンからいきなり涙が流れましたが、
音楽や映像に詰め込まれた「想い」が、伝わってきたからでしょう。

 

『グレイテスト・ショーマン』は、

『ラ・ラ・ランド』のスタッフが再結集して作られた映画。

 

『ラ・ラ・ランド』は、ハリウッド映画の黄金時代を回顧する、
映画、そしてミュージカルの素晴らしさを謳歌した作品。

 

さて、その『ラ・ラ・ランド』のスタッフが、
なぜ今回は「サーカス」を題材に選んだのか?

 

実は、「サーカス」を題材にしながらも、
私はハリウッドの映画界を描いた作品だと思うのです。

 

映画といえば、今でこそエンタテイメント、
娯楽の王様のような存在ですが、
昔は「下賤の者たちの低俗な娯楽」として見られていたのです。

 

だから、最初、白人たちは映画を相手にしなかった。
映画産業にも参入しなかった。

 

だから、結果として、
ユダヤ人たちが映画産業に参入することになったのです。

 

映画というのは、
今もマイノリティの作品を作り続け、
差別や偏見と戦っている。

 

そんな「映画業界」の草創期と
この「サーカス」の話が完全にオーバーラップします。

 

『ラ・ラ・ランド』は、ハリウッドの「明」の部分を描いていますが、
『グレイテスト・ショーマン』は、「サーカス」を描きながら、
ハリウッドの「暗」の部分を描いています。

 

さすがに、ハリウッドを舞台に、
映画産業への差別を描くのは、あまりにも生々しくなってしまう。

 

ということで、ニューヨークを舞台に「サーカス」という
設定を利用しているのですが、

そこにハリウッドの「暗」の歴史を重ね合わせると、
この映画の感動はさらに大きなものになると思います。

 

映画の一番最初に、「20世紀フォックス」の昔の
オープニング画像が流れますが、
それは「古いハリウッド」をイメージされる記号でもあります。
ヘラルド誌の辛口演劇評論家が、
「これは芸術ではない」と酷評しますが、
芸術ではなく、「娯楽(エンタテイメント)」なのです。
つまり、アメリカにおける、
「娯楽(エンタテイメント)」の誕生、萌芽というものが描かれている。

そこに、ハリウッドのエンタテイメント「映画」の
誕生がオーパーラップして、
その流れで『ラ・ラ・ランド』の華やかな時代が生まれる、

というわけです。

 

幸せとは何ぞや。幸せは、ここにある。

大切なものを見失うな!

差別や偏見。

「This is Me.」自分を認めよう!

仲間、そしてその仲間が集う「場」の大切さ。

人を楽しませることが、エンタテイメントの原点!

 

 

盛りだくさんのテーマに、
人によって共感ポイントも異なるでしょうが、
年に数本出会えるかというレベル

「魂を揺さぶられる映画」だと思います。

 

『グレイテスト・ショーマン』公式サイト
https://www.foxmovies-jp.com/greatest-showman/

 

 

 



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