私は自分の本を、一人でも多くの人に読んでいただきたい!
という思いから、
サラリーマン、自営業、経営者、主婦、学生と
多くの人に手にとっていただけるように、
つまり、いろんな職業、様々な環境の人に、
幅広く読んでいただける本を書くように意識しています。
それは、「誰にでもわかりやすい」というメリットを持つ反面、
「実際の場面で、具体的にどう活用するのか?」については、
書ききれない部分があるのです。
総論的なビジネス本に対して、
「ある場面、ある職種に特化した本」というのは、
絶対に必要なのです。
「患者さんがみるみる元気になる リハビリ現場の会話術」
(矢口拓宇著、秀和システム)
を読んで、そんなことを思いました。
この本は、
病院やリハビリ施設などでの、リハビリや介護の場面で、
患者さんにと、どのようなコミュニケーションをとり、
具体的にどのような声がけをしていけばいいのか?
それによって、患者さんの不安を取り除いたり、
患者さんの「やる気」を引き出していく。
心理学やコーチングを学んだ理学療法士の著者が、
実際のやりとりをナマナマしく再現しながら、
極めて実践的に解説しているのです。
私も、アメリカに留学する2004年までは
普通に勤務医として北海道の病院に勤務していましたが、
その時に感じていたのは、
医者は医学の知識についてすごく勉強している。
看護師は、看護についてすごく勉強している。
でも、コミュニケーションについて勉強している
医者や看護師、医療スタッフというのは、物凄く少ないな、
ということ。
専門家として、医療の専門知識に磨きをかけるのは当然として、
患者さんの不安を取り除くコミュニケーションができないと、
一流の、いや一人前の医療職とは言えないと思うのです。
「リハビリ現場の会話術」に書かれる理論は、
心理学やコーチングの本に書かれている
スタンダードなメソッドなのですが、
忙しい医療職の人が、そんなもの勉強する暇はありません。
ですから、このように
「会話術」に限定して、
2時間で読める内容にわかりやすくまとめる。
ということで、多くの医療職に役立つ一冊になっていると思います。
一点のみ。
タイトルは
「患者さんがみるみる元気になる リハビリ現場の会話術」
となっていますが、
私は「リハビリ現場」というのは
入れない方が良かったのではないか、と思っています。
なぜならば、著者の専門はリハビリではありますが、
この本に書かれた内容は、リハビリ現場に限らず、
介護現場や医療現場など、患者さんと会話をする
全ての場面に役立つからです。
例えば、
#認知症の母親の「奇行」への悩みが半減
#症状の伝え方次第で伝わり方が真逆に?
#患者さんの「自信」をつける方法
#「治りますか?」と聞かれたときの答え方
など、
非常に「会話の実例」が、極めて具体的に書かれていますので、
非常に実践しやすい内容だと思います。
「ぶっきらぼうで、愛想の悪い医者や看護師が多い」
といった話をよく聞きますが、
医療職たるもの、
最低限のコミュニケーションスキルは身につけたいもの。
そんな意味で、本書は、
リハビリに関わる人、
介護に関わる人、医療に関わる人、
悩める患者さんと関わる全ての人に役立てる、
実践的な会話術が学べる一冊になっています。
「患者さんがみるみる元気になる リハビリ現場の会話術」
(矢口拓宇著、秀和システム)
https://amzn.to/2BDp8EX