書評/映画評

短眠は短命。〜『人生が変わる短眠力』

今日、ランチを食べた店に、
藤本憲幸氏の『人生が変わる短眠力』があったので、
読んでみた。

日本でおそらく一番最初に
「短眠」「ショートスリープ」を提唱したのが藤本氏。

今年、69歳で亡くなりましが、
自ら「短眠は短命」であることを、
身をもって証明することになりました。

短眠は短命。
間違いないです!

睡眠不足の人は、病気のリスクが、
癌は6倍、高血圧が2倍、脳卒中4倍、糖尿病が3倍、
心筋梗塞が3倍、風邪が3倍。
死亡率は、5・6倍に跳ね上がる。

ということが、数多くの研究が示しており、

睡眠を削ると長生きできない。
睡眠は7時間を確保すべきである。

というのが、私の考えであり、
世界中の睡眠学者のほとんども、睡眠を削る、
特に6時間以下に削ると健康に悪いということに、
強く同意するでしょう。

『人生が変わる短眠力』やその他の
「短眠」「ショートスリープ」の本に共通する特徴。

それは、
どこにも信頼にたる学術的根拠が書かれていない、
ということです。

この本でも、学術的な話は全く皆無で、
短眠の自らの経験。
そして、何人かの個人的な経験を引き合いに出すだけで、
短眠の素晴らしさを語っている。

要するに、「短眠は健康にいい」というのは、
「個人の意見」なのだ。

学術的根拠はない。
もし、あったら、教えて欲しい。

論文名、雑誌、掲載年をお知らせください。

わたしも、「ショートスリープ」の論文を探していますが、
ショートスリープが健康に悪い論文は100本以上あるというのに、
ショートスリープが健康に良いという論文は1本読んだことがありません。

この本では、1日7時間睡眠を4時間睡眠にすることで、
3時間得する。
「40年間で使える時間が7年も増える」と主張する。

10年寿命を縮めれば、収支は明らかにマイナス。

実際、藤本氏は日本人の平均寿命よりも10年以上
若くして亡くなった。

睡眠を削っても、生み出されるのは、
集中力が低下したグレードの低い時間。

さらに、生活習慣病のリスクをのきなみ2〜3倍に増やし、
大きく寿命を削ることになるのです。

『人生が変わる短眠力』。
内容としては、「睡眠の質を高める方法」が書かれていて、
それはおおむね正しい方法が書かれています。

睡眠の質を高めることは、とてもよいことです。

でも、なぜ4時間を目標に睡眠を減らさなければいけないのか?
その根拠が全くないのです。

時間を削って働くよりも、
しっかり眠って、集中力を高めて働いた方が、
仕事の効率も高まります。

「ショートスリーパーになりたい」という人はいますが、
寿命が短くなり、トータルで何千時間も時間を損失しますので、
やめておいた方がいいと思います。

『人生が変わる短眠力』
(藤本憲幸著、青春出版社)

 



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