精神医学心の話

寝だめはできない!~「睡眠負債」について

「平日は仕事で忙しいので、3時間しか寝ていませんが、
 土日は12時間近く寝ているので大丈夫です」

そんな
「休みの日に寝だめしているから大丈夫」
という話はよく聞きます。

寝だめという行為は、
ある意味「睡眠の負債」を返却していることなのですが、
これは決して脳や体にとって、いいことではありません。

確かに月曜日から金曜日までは寝不足で、
土日を使ってたくさん睡眠時間を取ることによって、
ある程度の睡眠負債は返却できるかもしれません。

しかし、
土日のどれだけ沢山寝たところで、
翌週の月曜日からの仕事におけるパフォーマンスは、
全く向上しないのです。

「寝だめ」という言葉はありますが、
寝だめができないことは、脳科学的にも証明されています。

将来に対して、睡眠を貯金することはできないのです。
興味深い研究があります。

ある被験者に、月曜日から金曜日までは5時間睡眠、
そして土日の休みの日は10時間睡眠を取ってもらいました。

睡眠不足の状態と、10時間睡眠をとった後で、
「自覚症状」「脳波検査」「集中力の検査」を行いました。

結論は、
10時間睡眠によって、
「自覚症状」と脳波の異常は改善したものの、
集中力の低下は、全く改善しなかったのです。

たくさん土日に寝たとしても、
睡眠の負債を完全に返すことはできない。

平日に睡眠不足で、土日にたっぷり眠ったとしても、
月曜になっても、集中力の低い状態で仕事をしている。

つまり、
「1年365日、常にパーフォーマンスの低い状態で仕事をしている」
ということになるのです。
言い換えると、
常にパーフォーマンスの低い状態で仕事をしているので、
残業せざるを得ない状態になり、
睡眠時間がとれない状態が慢性化してしまう。

睡眠不足と「パーフォーマンスの低下」のスパイラルが、
永遠と続くわけです。

なんという時間の無駄。
人生の無駄ではありませんか。

あなたがどれほど素晴らしい能力を持ってしたとしても、
睡眠不足の状態では、それは7、8割しか発揮されない。

そんなイメージです。

というわけで、
「平日睡眠不足で土日にたっぷり眠る」という習慣は、
多くの人は良かれと思ってやっているのでしょうが、

ビジネスマンとして最低の睡眠習慣なので、
ご注意ください。

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