「古事記」を理解したい、という人は多いと思います。
私もその一人です。
ただ、「古事記」の現代語訳を読んでも、
神様の名前が次から次へと出てくるだけで、
サッパリ意味がわかりません。
この本は、「古事記」理解の決定版だ!
という本には、いまだ出会えません。
「古事記」というのは、難しいのです。
あるいは、同じ神様なのに、神様の名前が途中で変わったり、
矛盾、疑問、謎が山ほど存在するのです。
なぜ、「古事記」には、
そんな矛盾がたくさん存在するのか?
それは、矛盾ではなく「暗号」だと、著者の竹内氏はいいます。
「あれ?」というところに、「隠された事実」が
存在するのだと・・・。
「暗号」というとかっこいいですが、
言い換えると、「象徴」「比喩」「メタファー」です。
神話ですから、「象徴」や「比喩」が込められているのは当然です。
そうした、「古事記の」「象徴」や「比喩」を
わかりやすく解説しているのが、本書です。
そう、そもそも「古事記」は、神話なのか? 歴史書なのか?
竹内氏は、「古事記」は、「日本の根本」を書いた本であり、
歴史書であるといいます。
そして、本書では、逆に「古事記」から
古代の歴史を解き明かしていくのです。
そこに、ミステリーを解くようなおもしろさがあります。
猿田彦はイエス・キリストか?
UFOとは何か?
古代にユダヤ人が日本に来ていたか?
そんな「ムー」的な、かなり怪しげな話題に関しても、
「古事記」の解釈と、竹内家の「口伝」という切り口で、
答えを導いています。
この千年以上続く竹内家の「口伝」が、
どこまで事実を正しく受け継いでいるのかはわかりませんが、
本書の持つ「説得力」は、他の本にはないものです。
「古事記」をかる~く勉強した程度の私ですが、
この本は、非常に腑に落ちました。
「古事記」についての、謎、疑問がかなり氷解しました。
「なるほど」「なるほど」と読み進められましたし、
複雑な神様同士の関係も、
かなりわかりやすく整理されました。
古事記の入門書としては少し難しいとは思いますが、
古事記を深く理解したい人には、
かなりおもしろく読めると思います。
古代史、古神道に興味のある人にはおすすめです。
『古事記の宇宙』(竹内睦泰著、青林堂)
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