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口伝と文書。伝わるのはどっち?

京都、老舗企業をめぐる視察ツアー、
2日間で10社(団体)を周り、
「継続/継承」をテーマに、いろいろな話を聞きました。

あまりも膨大な情報量。
その中でも、「ベストの気づき」をシェアしたいと思います。

#壬生寺・住職 松浦俊昭さんの話

壬生寺といえば、新選組のゆかりの寺として有名ですが、
私が興味を持ったのは、
壬生寺に700年前から伝わる「壬生狂言」。

991年に創建された壬生寺は、今まで3度、
本堂などすべて全焼する大火に見舞われています。

古い文献や書物などは、全く残っていないのです。

にも関わらず、700年前に始まった「壬生狂言」は、
今でも伝承され、毎年、奉納公演が行われているそうです。

なぜ?

それは、「壬生狂言」は、
台本や書物などはなく、
すべて口伝だけで伝承されていたからです。


壬生狂言が行われる舞台「大念佛堂」

日本では、古くから、
芸能、武術、神道などが「口伝」として継承されていますが、
それって本当に合理的なのか? 
と、思う部分がありました。

私自身、1400年の歴史を持つ古武術、
「九曜流居合平法」を習い、
「口伝」で、いろいろなことを習っています。

「口伝」よりも、「文書」で伝えたほうが確実なのでは?
と、思うことが時々あります。

しかし、その疑念は完全に間違いでありました。

「壬生狂言」を、「文書」で伝えていたら、
大火によってその文書は消失し、失伝していたでしょう。

実際、京都に伝わる他の狂言の流派は、
「文書」で伝えたため失伝したものもあるそうです。

人が直接、口伝で伝えるというのは、不確実なようでいて、
本気の人たちが受け継いでいけば、
非常に確実な伝承法なのだ!!
ということがわかりました。

「壬生狂言」は、現在、30人の人たちによって伝承され、
10人以上の小学生、中学生、高校生たちも、
必死に学んでいるそうです。


壬生狂言はこんな雰囲気 

最後に、住職は自分自身が、伝承者の一人であることを
ちらっとカミングアウトしたのが格好良かった。

狂言堂を見学した後、
新選組の隊員らの墓もある「壬生塚」を参拝。

そして、その出口の売店には、大量の新選組グッズが
並んでいました。
修学旅行生が、それらの新選組のグッズを買っていくそうです。

それらのユニークなグッズの数々は、
全て住職のアイデアだそうです。

伝統を伝えていくためには、先立つものも必要なのです。

伝統工芸などの継承者などは、
「お金にならない」ことが原因で、後継者が集まらない。
結局、素晴らしい技術を継承できずに、廃業するところも多い。

ただ、まじめに伝統を受け継ぐだけではダメで、
それを広げるビジネスセンス的なものと、
「掛け算」することで、広がっていく。
そしてつながっていくのだ、と感じました。

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