『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を見ました。
かなりの問題作です。
映画プロダクションA24の製作。
A24と言えば、
アリ・アスター監督の『ミッドサマー』や
『ヘレディタリー/継承』などの問題作。
あるいは、
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
のような、攻めた作品を作る印象。
本作、『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
のタイトルだけを見ると、アクション娯楽大作で
アメリカの愛国心を打ち出すような作品・・・
と思うが、全く違いました。
よい意味で、完全に観客を裏切っている。
米国で勃発した内戦。
そこで、スクープをものにしようとする戦場カメラマン。
いつ死んでもおかしくない、
生と死のギリギリの状況で、シャッターを切り続ける。
エンタメなのですが、
限りなくドキュメンタリーにも近い。
映画の最初から、最後まで張り詰めた緊迫感は、
なかなかのものです。
私は、カンボジア内戦を描いた
『キリング・フィールド』を思い出しました。
だいたいアメリカ映画といえば、
正義や愛国心の押し売りのような作品が多いのてが、
本作では「もはやアメリカには、愛国心のかけらすら残っていない」
という、ぶっとんだテーマで作られています。
常識を破壊する!
という点でいうと、
『ミッドサマー』と同じ様な感覚もあって、
A24でしか作れない作品とも言えます。
本作の凄いところは、
「シビル・ウォー」がどのような経緯で勃発して、
何を求めて両軍が戦っているのかが、
全く描かれていない点です。
最初に、何言か説明があるだけで、
それ以上は何もない。
大統領、兵士、ジャーナリスト。
全ての登場人物に、大義も愛国心もなくて、
私利私欲のために動いているのも、凄い。
なかなか、そんな映画は見たことはありませんが、
製作者は「これが今のアメリカだ!」
と言いたいのでしょう
最後に、「ささやかな良心」が描かれますが、
それも見事に打ち砕かれる・・・。
そういう意味で、問題作であり、
『ミッドサマー』のように、
とんでもない衝撃を受ける作品といえます。
ただ、それがあなたにとって
「おもしろい映画」かどうかは不明です・・・。
人間の醜い部分が、ストレートに描かれている描写があって、
非常にショッキングであり、残酷です。
説明がほとんどないので、
「自分で考える力」がないと、
ちんぷんかんぷんな人もいるでしょう。
アメリカで内戦がおきるなんて、バカな設定があるか?
と思う人もいるでしょう。
しかし、アメリカ、ロスに40年以上在住する私の従兄弟が、
先日、「大統領選挙の結果では、何が起きてもおかしくない」
と、ガチで語っていて、ゾッとしました。
アメリカを二分して、アメリカ人同士が殺し合う。
そんなバカなことが起きるはずがない!!
しかし、そんなバカげた内戦を、
1860年代、リンカーンの時代に、実際に行って
62万人が死んでいるのです。
それを、
「シビル・ウォー」(南北戦争)といいます。
当然、知っている人は知っているでしょうが、
タイトルの「シビル・ウォー」の意味。
知らないで、
見ている日本人もいるのではないでしょうか。
「シビル・ウォー」は、分断が深刻化している
今のアメリカにおいて、「完全なる作り話」では済まされない
ということです。
そんなことを、いろいろと考えさせられる。
かなり、深い、問題作であります。
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』樺沢の評価は・・・★★★★ (4・3)
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