書評/映画評

Diner ダイナー ~死と病気と異常と正常の間に、ささやかな「生」を見つけた!!

「樺沢さんは、なぜ精神科医になったのですか?」

映画『Diner ダイナー』を見て、
その理由が改めてわかりました。

ズバリ、心の病気が好きだから。
精神疾患の異常な精神病理に魅了されているから。

「病気が好き」って、なんじゃそりゃ、
と思うでしょう。

メンタル疾患、精神病は「異常」と認識されますが、
決して「異常」ではないのです。

人間の持っている、ある「側面」が顕著に現れた状態。

つまりそれは、「異常」ではなく「本質」なのです!!

人間存在、そのもの。
と言っても良いくらいです。

平凡で特徴のない、普通の人の心理をいくら観察しても、
人間の本質には到達できないでしょう。

普通の人間が表沙汰にならないように、
防御し、徹底的に隠している「人間の本質」が、
メンタル疾患や精神病においては、
赤裸々にさらされるのです。

その嵐のようなエネルギーは、周囲の人たちを巻き込み、
爆発的なパワーを炸裂します。

時に人を傷つけることもありますが、
芸術作品などで人を癒やすこともあります。

完全に病的異常心理の世界を描いた
映画『Diner ダイナー』。

私は、おもしろかった!!

しかし、他の人にはおもしろいかどうかはわかりません。

完全に病的心理状態の世界であり、
変態の世界であり、映像が艶かしく、耽美的で、
エロティックな世界でもある。

生きるか、死ぬか。
正気と狂気のギリギリの世界を通して、
「生きる」意味。
あるいは、「生きる」勇気を与えてくれるのです。

一言で言えば、境涯型パーソナリティー障害の心理です。

生きるか、死ぬかの、ギリギリの精神状態で、
かろうじて、自分が「生きている」ことを実感する。

だから、境涯型パーソナリティー障害の患者は、
リストカットをします。

男性だと、
エベレスト登山に挑む冒険家、
格闘家などにも、こうした病的心理を抱える人は多いです。

先日、モータースポーツのジャーナリストの方が言っていました。
「モータースポーツの世界には、心を病んでいる人が多い」と。
それも、同じ理由でしょう。

ハンドル操作を「1秒」間違えれば、確実に死ぬ。
死ととなりあわせの世界に、「生きる」喜びを感じる人は、
境涯型パーソナリティーの心性を持っていておかしくない。

母親に捨てられたトラウマから、
「生きる」意味を見いだせないオオバカナコは、
トラブルに巻き込まれて、
「殺し屋専用のダイナー」のウェートレスとして売り飛ばされます。

ちょっとした粗相が「死」につながる、不条理な世界。
そこを訪れる「殺し屋」たちとの修羅場の連続。

映画に「リアリティ」を求める人は、
この映画を見て、さんざん文句を言うでしょう。

私は逆に、
常識をぶっ壊した、暴力が日常の破天荒な世界観に、
妙にワクワクするのです。

これは、「映画」というよりは「演劇」の世界です。

この奇妙なシチュエーションの中で、
癖のある役者たちが暴れまくります。

予告編を見ると「藤原竜也」の映画のようですが、
あくまでもオオバカナコ 「玉城ティナ」が主人公の映画。
その辺が意外であり、引き込まれるポイントでもあります。

『キングダム』で、反乱の首謀者「成きょう」を演じた
本郷奏多の怪演ぶりに圧倒されましたが、
本作の本郷も凄いです。ぶっ飛んでいます。
完全に、本郷奏多のファンになりました(笑)。

武田真治、斎藤工、小栗旬と俳優陣も贅沢で、
それぞれが、普段は絶対に見せないぶっとんだ「顔」を
本作では魅(見)せてくれます

蜷川実花監督が描き出す、
エロティックで切なく、そして破天荒な映像世界に酔いしれました。

通常の映画の文法やお約束を徹底的に裏切っている本作は、
実に刺激的であり、革命的な映画といえます。
『シン・ゴジラ』を見た時のような衝撃を受けました。

しかしながら、
万人には、お勧めしません!

結局、この世界観が受け入れられるのか?
という点が、「好き」か「嫌い」の境目となるだろう。

この病気の世界観。
あるいは、人間の本性のドロドロとした世界観。

あなたは、受け止められますか?
それとも、拒絶反応を示しますか?

『Diner ダイナー』樺沢の評価は ・・・ ★★★★☆(4・7)

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