書評/映画評

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 ~次世代に受け継がれる水木しげるの世界

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』。
水木しげるファン歴43年の樺沢としては、非常に楽しめた! 
チョー充実の内容。

ただ、「ゲゲゲの鬼太郎」を全く見たことがない人が見た場合、
おもしろいかどうかは不明。

高校生で水木しげるの妖怪漫画と出会い、
『悪魔くん千年王国』(少年マガジン版)にはまる。
さらに戦記物、貸本漫画時代の作品にさかのぼり、
水木作品を読みあさっていたのです。

鬼太郎の誕生秘話は、漫画「墓場鬼太郎」で描かれていますが、
一歩踏み込んで、新しい物語を作り上げた。
いわゆるエピソード1(または0)のパターン。

鬼太郎は少ししか登場しないが、
水木しげるの世界観が、120%楽しめる。

主人公の「水木」は、太平洋戦争の玉砕から
命からがら逃げ帰った男。

昭和30年代が舞台。
水木しげるの戦争体験を盛り込みながら、
どろくさく「生きる」というテーマは、
全ての水木作品の底流に流れている。
戦争の描写も少ないながら、心を揺さぶる。

戦争中のトラウマと戦後の復興。
からの大事件に巻き込まれていくくだりは、
「ゴジラ-1.0」とも共通点がある。

Netflixでは、
丁度『悪魔くん』の新シリーズが先日公開されたばかり。

水木しげるは亡くなって8年が経つが、
今、こうして新作が見られるということは、
水木ファンとしては、何という幸せでしょう。

水木が生み出したキャラクターや世界観は、
完全に次の世代に受け継がれた感がします。

『君たちはどう生きるか』で、
継承者がいないと嘆いた宮崎駿とは、対称的です。
 
ちなみに本作の内容や描写は、
ややダークで大人向けかもしれません。

水木しげるファン、鬼太郎ファンであれば、見て損はない。
いや、見るべき作品と言えます。

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』樺沢の評価は・・・ ★★★★(4・3)

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』予告編
https://youtu.be/HCETLuRsQAI

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