午前中は必ず執筆する男、樺沢紫苑。
がそのポリシーに反してまで、
午前中に見に行った映画
『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』。
凄かった!!
圧倒された!!
魂が揺さぶられた!!
『三島由紀夫vs東大全共闘』は絶対に見た方が良い
という情報を得た数日後、
コロナ感染の拡大により、映画館が閉鎖となった。
「この映画、もう見られないのか」
と意気消沈していたら、
数日前にオープンした映画館の、
復帰後のラインアップに残っていたので、早速見てきた。
10時45分からの1日1回上映なので、
午前中に外出はしたくないのだが、
これはしょうがない。
1969年に東大で行われた
三島由紀夫と東大全共闘学生たちとの
熾烈な討論収めたドキュメンタリー。
そのへんのアクション映画の何倍もの迫力がある。
学生たちもガチ。
そして、三島由紀夫もガチ。
1965年生まれの私としては、
三島由紀夫も学生運動も全く記憶がない。
世代が10年以上違うので、
逆に「こんな時代が日本にもあったのか 」
という驚きを得た。
日本人は温厚だから暴動なんか絶対に起こさない、
とか言われるが、学生と警官隊とのぶつかりあいなど、
この映像を見ると、ここまで苛烈な日本人がいたのかと驚かされる。
本作では、「言葉の力」というものが問われている。
1000人の真逆な思想を持つ全共闘学生の中に単身乗り込み、
1000人を「言葉の力」で変えようという三島の壮絶な戦い。
言葉には力がある。
人を変える力。体制を変える力。時代を変える力。歴史を変える力。
何かを変えるのには、「言葉」は不可欠なのだ。
私も「作家」という、あるいは「精神科医」という
「言葉」を扱う仕事をしている都合、
「言葉の力」を信じ、日々発信し、本を書き続けるわけだが、
そこにどこまでの力があるのか懐疑的になることもあるが、
本作を見ることで、「伝える」ことの圧倒的な重要性を
再認識するのである。
そして、「ただの言葉」ではなく、
圧倒的な「情熱」や「熱量」がなければ伝わらないのだ、ということも。
太平洋戦争の敗戦によって、
「天皇」という「父性」、よりどころを失った日本。
三島は、新しい「天皇」の概念を「父性」として掲げながらも、
自らがカリスマ化し、リスペクトのと対象となっていく。
つまり、自らが「父性化」していくのがおもしろい。
討論の冒頭で主催者の学生が、敵対する三島を、
思わず「三島先生」と呼んでしまうくだりが、それを証明している。
三島に対して、「リスペクト」を持っているからこそ
「先生」と言ってしまったわけだ。
父性とは、規範を示し、リスペクトされる存在。
敵も、味方も関係ない。
敵ながらあっぱれ、というのも父性である。
全共闘の学生は、
漠然とした「体制」というものを「敵」とすることで、
活動する目的、エネルギーを得ていたが、
ある意味「反対」「反抗」こそが目的のようになっていた。
そこに現れた、1本筋の通った男、三島由紀夫は、
敵、味方を超越した、規範を示す超越した存在であった。
「三島をぶん殴りに来た」とヤジを飛ばす学生もいたが、
三島を「倒すべき敵」として認識していた。
つまり「父親殺し」の対象として認識したわけで、
やはり三島は「父親(父性)」であったのだ。
三島は、学生の挑発にものらず、
「怒り」を表すこともなく、
「理論」と「感情」を分離し、極めてニュートラルに語る。
こんな人がいたんだ! という驚き。
当時、三島由紀夫が
時代の寵児になったのもよくわかる。
彼のギラギラとした、目の輝きが凄い。
ドーパミンとアドレナリンが出まくっている。
ある種の「危うさ」も感じられるが、
案の定、「自決」という結末を迎える。
三島由紀夫が自決した理由は、
細かな部分においては、未だ「謎」とされる。
言葉を武器として戦っていた三島が、
最後は、決闘の論理で「暴力」的な解決に走ってしまう。
作家なのだから、
最後まで「言葉」を武器にすべきだと思うが、
三島の中で、”もはや「言葉の力」は通用しない”という
挫折、失望が、自決に追い込んだのか・・・。
見ていて、ここまで「考えさせられる」映画は、
滅多にない。
というか、自分も討論の参加者として、
心の中で「反論」したり「応援」したりしして見るのが、
この映画の楽しみであろう。
受け身型でしか見られない人には、
つまらないかもしれない。
私にとっては、類い希な知的好奇心を刺激してくれる映画。
そして、魂を揺さぶられる映画であった。
本当に、見逃さないでよかった。
樺沢の評価は・・・・・・・★★★★☆(4・8)
上半期ベストワンか、ベスト2を争う、高水準映画。
『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』
予告編はコチラから
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映画、今観ました。
樺沢先生より2コ上の女です。
話して動く三島をこれだけ長時間で観て聞けたのは初めてで、とても新鮮でした。
そして同じぐらい主催の学生たちが美しかった(老いた今も!)。