書評/映画評

新年早々、魂を揺さぶられた! 『モリコーネ 映画が恋した音楽家』が凄かった!

魂を揺さぶられた! 
泣きすぎて目が痛くなった!

映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』が素晴らしかった!

映画ファンであれば、
涙なくしては見られないでしょう。

『荒野の用心棒』『続・夕陽のガンマン』『死刑台のメロディ』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『アンタッチャブル』、
そして『ニュー・シネマ・パラダイス』。

映画史に残る映画音楽を500曲以上を作曲した
作曲家エンニオ・モリコーネ。

その生い立ち。初期の映画から2000年代の映画まで。
映画音楽に対するモリコーネの貢献を、
具体的な音楽的な奇抜な工夫を、
本人と関係者のインタビューで詳細に紹介していく
ドキュメンタリー映画です。

ドキュメンタリー映画というとつまらなそうな気がしますが、
映画史に残る数多くの作品の名場面とモリコーネの音楽が
ふんだんに使われていますので、
音楽の素晴らしさと蘇る映画の感動が、
ダブルで魂を揺さぶります。

本作の凄いところは、
本人自身が彼の作品を縦断的に語っているところです。

著名人のドキュメンタリー映画はたくさんありますが、
多くは本人の没後に、追悼的の意味で、
関係者のインタビューを集めて作られます。

本作は、半分は本人自身が、
作曲や編曲のコツや工夫を詳細に語っているのです。
これは、超一級の映画資料といってもいいでしょう。

そして、それぞれの作品の工夫、挑戦に、
そのたびハッとさせられるのです。
この映画に、こんな凄いチャレンジがあったのか、と。

映画音楽というのは、ここまで考え抜かれて作られていたのか・・・。
今まで何千本も映画を見てきたというのに、
全く気付いたなかったではありませんか。

次から次へと新しいアイデアを思いつくモリコーネ。
その「創作の秘密」がおもしろい。
枯れることのないアイデア。
年を重ねても、失敗を怖れずに、新しいチャレンジをしていきます。

一つの場面に対して、A案がダメでも、B案、C案があるという。
場合によっては、一つのシーンに6パターンもの
曲を用意しているというのは、想像を絶します。

あまりにも多作だと質が劣化するのではないか? 
私も年に3冊本を書き続け思いますが、
モリコーネは年に20本の映画を手がけたこともある。

つきない創造性とエネルギーはどこから来るのか? 
私も、「年に3冊しか書かない」とか小さいことを言ってないで、
年に20冊くらい書いても、いいのかもしれません。

本作に登場してモリコーネのエピソードを披瀝する関係者が豪華すぎます。
セルジオ・レオーネ、ベルナルド・ベルトルッチ、ジュゼッペ・トルナトーレ、
オリバー・ストーン、クエンティン・タランティーノ、ウォン・カーウァイ、
ダリオ・アルジェント、クリント・イーストウッド、ジョン・ウィリアムス。

映画ファンとしては、これだけで目眩をするほどの豪華さです。

そして、インタビューに答える人たちが、全員、笑顔なのです。
モリコーネへ音楽へのリスペクト。

あるいは、モリコーネが多くの人から慕われ、
愛されていたことが、
彼らの笑顔から十分すぎるほどに伝わるのです。

そして、モリコーネの負の部分も描かれていました。
映画音楽の作曲は、クラシック音楽の作曲と比べて、
明らかに下に見られていた。

彼の妻に言った「10年したら映画音楽を止める」
という発言は非常に重たいです。
何とか見返してやりたい。
評価されたいというエネルギーが、どこかにあったのでしょう。

しかし、彼自身が大衆娯楽としての映画の地位を高め、
「映画音楽」という新しい音楽ジャンルを開拓した。
その未知の世界のパイオニアになっていくのです。

今日、映画は、音楽なしでは考えられませんが、
「映画音楽」の地位をここまで高めたのはモリコーネの偉業があってこそ。
さらには、現在も様々な音楽ジャンルにも影響を与えているのです。

モリコーネは、2020年に亡くなりましたが、
その前にこのインタビューが撮られたのは「奇跡」です。

映画ファンなら、この映画史の一級資料。
いや、映画音楽に人生を捧げた男の、
音楽愛にあふれた魂を揺さぶるドラマ。
お見逃しなく。

『モリコーネ 映画が恋した音楽家』樺沢の評価は・・・★★★★☆(4・7)

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