書評/映画評

ねじまき鳥クロニクル(舞台)を鑑賞 ~言葉の力、演じる力、そして伝える力

舞台「ねじまき鳥クロニクル」、ものすごく良かった!

言うまでもなく、村上春樹の原作の映画化。

春樹作品の中でも最も暴力描写、残酷描写が強烈で、
ハルキストの中でも賛否両論分かれる問題作。
 
よくこの映像化不能な作品を舞台にできたものだ。
前衛的な演出。戸惑う人もいるでしょうが、
私はすごくよかった。
 
舞台というか、「朗読劇」に近い。
「朗読」ではなくは「暗唱」。
間宮中尉の外蒙古での諜報活動の独白シーン、
原作で何ページ分ものテキストを完璧に暗記し、
さらに熱い口調で語るシーンは圧巻だ。

 
村上春樹の「言葉」。
そして、「言葉の力」をものすごく大切にしている。
斬新な演出でありながらも、根底に村上への強烈なリスペクトが感じられた。
  
岡田トオルを2人の俳優が演じ分けるという斬新な演出。
「現実」の岡田と「異世界」の岡田だということで、
作品世界に深く踏み込んだ演出である。
 
笠原メイ役の門脇麦(映画『さよならくちびる』)。
陰鬱で残酷な物語の中で、太陽のような輝きを放って、
全体のバランスを見事に整えている。
 
原作が膨大なだけに、名場面集のような展開はしかたがないとしても、
「現実」と「異世界」、「生」と「死」、死を突き動かすエネルギー、
衝動性など、原作ではわかりづらいテーマも、
ビジュアルで見ることで、ものすごく整理されて、
直感的に理解しやすくなった部分も多い。
  
何より、ギーーーイという「ねじまき鳥のねじを巻く音」が、
どんな音なのか原作を読んだときは全くイメージできなかったが、
今回、生音で聞くと、
「ああその音ね」ということでとっても腑に落ちた。
 
原作が素晴らしい作品ほど、
映画化や舞台化で不満が残るものだが、
今回の舞台化は私的には大満足であった。

大胆な「独自の解釈」と「原作へのリスペクト」が共存している、
稀なる傑作と言えるのではないだろうか。

 
今回、舞台のために原作を読み直しておいて本当によかった。

原作を読んでいない方は、舞台を見ても意味不明なので、
それだけはお勧めしません。
 
この舞台を見て、改めて思う。
村上春樹って凄い!!

 
私も、20年、30年、いや100年しても色あせない、
歴史の試練を超える「本」を書かないと・・・

そんな「熱い想い」を心に強く抱き、劇場を出た。

【全動画プレゼント】
あなたの悩みの95%は解決する。
YouTube「樺チャンネル」の全動画1500本のリストをプレゼント中。
今すぐダウンロードしてください。
https://canyon-ex.jp/fx2334/z6j0NW

↓ 【樺沢紫苑公式メルマガ】の登録はこちらから(※メールアドレスを入力)

コメントを残す

*

CAPTCHA