NIKEの会社、創設秘話が非常におもしろかった。
話としては、読んだことがあるのですが、
実際にNIKE本社で、NIKE社員からその話を聞くと、
実に感動的です。
オレゴン大学の陸上コーチであったビル・バウワーマン。
バウワーマンは、自分が指導する選手たちの記録を
どうすれば伸ばすことができるのかを、
毎日、必死に考えていました。
当時、陸上専用の靴というのは存在しなくて、
普通のスポーツシューズしかなかった。
シューも平べったい普通のスポーツシューズは、
陸上には向かない。
シューズを改良することで、
選手たちの記録はもっと伸びるに違いない!
と確信した、バウワーマンは、シューズの研究を始めます。
自分でも靴を試作するものの、
教師であるバウワーマンは、靴職人ではないので、
思った靴が作れない!
そこで、神戸のオニツカタイガー(現アシックス)と提携し、
靴の製作、販売の世界に入っていく。
そうした中、陸上選手でもあり、
スタンフォード大学で経済学を学んでいた学生フィル・ナイトと知り合い、
2人でナイキの前進となる「ブルーリボンスポーツ」を設立します。
マニアックな探求者であるビル・バウワーマン。
商売の才能に溢れたフィル・ナイト。
2人がコンビとなり、今のナイキが生まれたのです。
「Apple」の天才ブログラマー、スティーブ・ウォズニアックと
ビジネスの天才スティーブ・ジョブズとの出会いと、
同じパターンですね。
アメリカのスタートアップで成功する必勝法といえるのが、
「マニアックな専門家」と「ビジネスの天才」がコンビを組む
というパターンです。
Appleといえば、スティーブ・ジョブズが有名だし、
NIKEといえば、フィル・ナイトが有名ですが、
私は、チョーマニアックな専門家である、
バウワーマンやウォズニアックに圧倒的に共感します。
彼らの技術がなければ、
AppleやNIKEは存在し得ないからです。
そして、私自身がどうみても「マニアックな専門家」、
バウワーマンやウォズニアックと同種の人間だから、
だと思います。
日本の技術は凄い! と言われます。
日本には、
バウワーマンやウォズニアックの水準の技術者が
たくさんいるはずなのです。
しかし、ジョブズやナイトのような、
ビジネスにイノベーション起こせる人がほとんどいない。
「技術的革新」×「ビジネス的革新」=「世界的な成功」
という図式があるのですが、
日本は、「技術的革新」はものすごくいいのに、
「ビジネス的革新」が弱すぎる。
最近の「東芝」の破綻危機の話とも通じますが、
今の日本が世界で戦えない理由が、
NIKEの創設秘話から見えて来ます。
もう一つ、
私、樺沢は、
典型的な「マニアックな専門家」ですから、
「ビジネスの天才」とコンビを組まないと、
その能力は、真に花開かないのか・・・
なんてことも考えました。
自分の能力を補いあい、
互いの能力を何百倍にも高めあうパートナーの発見。
ビジネスの成功には、不可欠な要素なのかもしれません。