「マーベル」のヒーローもの映画が大嫌いです。
「マーベル映画なんか2度と見るか!」と思いますが、
なぜか新作が公開されると、見たくなるのです(笑)。
これは「アンチ巨人」が、
ついジャイアンツの試合を見てしまう心理
と同じかもしれません(笑)。
ということで、全く期待せずに
『ソー:ラブ&サンダー』を見たのですが、
これが、意外とおもしろかった!
「意外とおもしろかった」というのも失礼な話ですが、
痛快で大笑いできて、最後に泣けた!
これって、エンタメの王道じゃないか。
と思ったのです。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』で、
アル中になって、生きる気力をなくし、
酒を飲みまくって超肥満となってしまったマイティー・ソー。
そこから、一念発起し身体を鍛え直すシーンには、
大笑いしました。
さて、その「ソー」の後日譚。
おバカキャラ(というか単純で短絡的?)
として知られる「ソー」が、凄く成長しているのです。
人に助けを求める柄ではない。
超ワンマンなソーが、今回の敵は1人では倒せないと、
神々に助けを求める、という展開は、かなり”意外”です。
「人に助けを求める」というのは、
「自分の弱さ」「自分の限界」を認めるから、はじめてできる行為。
今回は、ソーにそんな「謙虚さ」が見られるのです。
なんという、成長でしょう。
もちろん、「おバカ」な行動も多く、
大笑いするシーンも多いのですが、
ソーの精神的な成長が、意外にも(笑)
非常に丁寧な心理描写で積み上げられているのです。
「おバカ」と「真面目な心理描写」のバランス。
サンドイッチのように、交互に挟まっている感じが、
非常に良い感じ。
見ていて引き込まれるし、飽きさせない。
敵の捕虜となっていた子供達が、
一緒に●●するのは、ありそうでない。
非常に驚きました。
捕虜の子供たちのおびえた表情。
ここには「虐待児」の問題が、比喩として描かれている気がしました。
そして本作のメッセージは、
「誰かに助けてもらおう」ではなくて、
物語が進んでいくと
「苦しければ、自分で何とかしろ!」というテーマが見えてくる。
もちろん、「助け合い」はあるけども、
本作で描かれるのは、「精神的な自立」。
ソーの自立。
ジェーンの自立。
そして、子供たちの自立。
打ちのめされていても、意味がない。
困ったら自分で何とかしろ!
苦しければ、自分で何とかしろ!
一見、突き放したメッセージに聞こえますが、
「自分で何とかしよう」と必死で頑張るから、
最後に「助け」が得られるのです。
表面的に見ると、ただのおバカ映画。
しかし、深読みしていくと、
人間の「成長」や「自立」など、骨太なテーマが見えてくる。
そして、タイトルの通り、
「愛」のテーマがクローズアップされるラストでは、
目から涙が・・・。まさか『ソー』で泣くとは。
タイカ・ワイティティ監督、凄い!
ワイティティ監督は、
「スター・ウォーズ」の新作を監督することが決まっているので、
これは楽しみでしょうがないです。
新作の「スター・ウォーズ」でも、
骨太な心理描写をしてくれそう!
『ソー:ラブ&サンダー』樺沢の評価は・・・ ★★★★☆ (4・4)
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