ノースカロライナ州の湿地帯で、男性の変死体が発見される。
やがて、ザリガニが鳴くといわれる湿地で育った1人の少女が
容疑者として浮上する。
事件の捜査が進むにつれ、その真相は一層謎に包まれていく。
という、あらすじを読むと、
典型的なミステリーと思いますが、
実際は創造とは全く違う作品でした。
父親の虐待。
そして、6歳にしても父親に置き去りにされて、
たった1人で、沼地で生活していく少女、カイア。
「生きる」ことの難しさ。
日々の沼地の生活が描かれますが、
それが壮大な人生ドラマになっていくのです。
強烈な差別、偏見。
それと対称的に、
彼女を支える何人かの心優しき人たち。
現実における天国と地獄。
いや、地獄と天国。
しかし、「自然」と「生物」たちは、
変わりなく、そこに生き続ける。
カイアもまた、自然に溶け込んで生きていく。
複雑な謎解きはないけども、
そこには
「生きる」
「孤独」と「つながり」。
人は、1人で生きていけるのか?
支える人は、必ずいる!
DV、暴力とトラウマ。
差別、偏見。
人間は、変われるのか?
といった、骨太のテーマが、
ぎゅっと凝縮して描かれています。
そして、ラストシーンは・・・。
見応えのある作品でした。
『ザリガニの鳴くところ』樺沢の評価は・・・ ★★★★☆ (4・5)
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