12月と4月は、一年で最も本が売れる月。
と言われます。
それで各社とも、ベストセラーを狙って、
質の高い本を12月に投入してくるのです。
そうしたこともあり、今月読んだ本、おもしろい本が多いのです。
そんな極めておもしろい1冊が、
『年をとるほど賢くなる「脳」の習慣』
(バーバラ・ストローチ著、日本実業出版社)
https://amzn.to/2CHcjdf
です。
私は講演で、
「40歳、50歳と年をとっても、脳は老化しません!
しかるべき、脳のトレーニングをしていれば」
ということを、よく話します。
昨日の大阪の『絶対にミスをしない人の脳の習慣』出版記念講演会
でも、丁度、その話をしました。
「年とともに脳は老化して、機能は衰える一方である」
という考え方は、現在の脳科学では否定されています。
この本でも、そういった内容が書かれていて、
一つのテーマは、
「中年期からでも脳は成長し続ける」 、それどころか
「40~65歳か物事を一番賢く考えられる」
「脳は20代のときよりも中年の方が賢い」ということを
たくさん研究を紹介しながら、わかりやすく解説しています。
中年万歳!
中年最高!
そんな、最近、脳の衰えを自覚する中年のみなさんを
猛烈に勇気づける本が、
この『年をとるほど賢くなる「脳」の習慣』なのです。
ただ、何もしないで、
中年の脳のパフォーマンスが最高に高まるわけではありません。
私の『絶対にミスをしない人の脳の習慣』でも、
「大人の勉強」や「運動」がものすごく大切ですよ、
ということを書きましたが、
同様の内容がこの本でも語られます。
中年になっても脳のパフォーマンスを最大化するよう
脳のトレーニングをしましょう!
というテーマは、拙著『絶対にミスをしない人の脳の習慣』と
同じであり、内容的にもかぶる部分もありますが、
ビジネス書である拙著に比べて、
脳科学本、科学読み物として書かれた本書は、
圧倒的に論理的で、学術的な証拠を山ほど提示してくれています。
あと、食事
「脳に良い食べ物」についての記載も多く、
1 ブリーベリー、ニンジン、ホウレンソウなどの抗酸化作用の高いフルーツや野菜
2 赤ワイン
3 スピルリナ(藻類)
4 カフェイン(コーヒーや紅茶)
などが、推奨食品として挙げられています。
あと、私がおもしろいと思ったのは、
ストレスはないよりも「軽いストレス」があったほうが、
BDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌され、
脳は活性して、神経新生が促されるという研究。
ストレスは敵ではなく、味方なのです。
「退職して、のんびり暮らす」というライフスタイルは、
ものすごく脳によくないわけです。
ということで、
『年をとるほど賢くなる「脳」の習慣』は、タイトルの通り、
老化をしりぞけて、中年でも人生最高の脳のパフォーマンスを実現する
「「脳」の習慣」が、わかりやすく解説されています。
ただ、一点のみ。
著者のバーバラ・ストローチ氏は、
ニューヨーク・タイムズの科学、健康、医療系記事の副編集長。
ということで、つまり科学や健康を専門にしたライターということなのですが、
論旨が「ものすごく正確」で、「学術的な正しさ」をトコトン追求しよう、
という姿勢で書かれています。
結論として、
「動物実験では証明されているが、ヒトに対する研究はない」
「試験管レベルの実験では証明されているが、
ヒトに対する研究では、ハッキリとした結果が出ていない」
という記載がものすごく多いのです。
それは、学術的な「事実」をそのまま伝えているのですが、
結局のところ、その「習慣」が、効くのか? 効かないのか?
よくわからない部分も多い。
それが、今の脳科学研究の現状であるわけですが、
読んでいて、とてももどかしいのです。
その習慣は、
効くのか? 効かないのか?
その習慣は
やるべきなのか? やらないべきなのか?
著者の意見でいいので、断定して欲しいな、と。
ビジネス書であれば、すべきことが明確に断定されていますが、
本章では学術的な「正確さ」にこだわるあまり、
断定されていないところが多くて、
「何をすべきか」を知りたい読者には、
おぼろげにしか伝わらないかもしれない、という部分だけが、
ちょっと残念でありました。
ということで、
脳に良い生活習慣。
何をするべきかを知りたい人は、
拙著『絶対にミスをしない人の脳の習慣』
https://amzn.to/2x3zZ89
を読んだ方がわかりやすいでしょう。
しかし、その「習慣」の科学的根拠を詳しく知りたい、
という人にとっては、本書は、恰好の1冊になることは間違いないでしょう。
ホームランまであと50センチ届かず。
「三塁打」本といっていいでしょう。
脳科学本が好きな人は、「買い」です。