書評/映画評

今夜、ロマンス劇場で 〜 オタクの心をくすぐる感動作

樺沢紫苑、号泣!!
チョーべたなストーリーですけど。

映画『今夜、ロマンス劇場で』を見ました。

銀幕のヒロインに恋する映画青年・健司。
その憧れのヒロイン・美雪が、現実に現れたら・・・。

予想の8倍くらい良かったです。

試写室から毎日映画を見る健司の映画バカぶりは、
『ニュー・シネマ・パラダイス』

『ローマの休日』のオード・ヘップバーンが、
そのまま抜け出してきたような綾瀬はるかの美しさ。

そのお転婆ぶりは、『隠し砦の三悪人』の雪姫そっくり。
そう、綾瀬はるか演じるヒロインの名前も「美雪」ですから、
明らかに、『隠し砦』のオマージュ。

劇中に登場する『お転婆姫と三銃士』は、
三人の動物を模した人物を引き連れたミュージカル、
ということて『オズの魔法使い』をイメージさせます。

そして、劇中に登場する映画『カサブランカ』は、
「成就しない愛」の代表作で、劇中のストーリーとかぶります。

というように、映画ファンが泣いて喜ぶような、
名作映画への愛とオマージュにあふれています。
 
そして、「モノクロ映画に色をつけたら」という
本作のコンセプトも非常におもしろい。

昭和初期の時代が、オールカラーで蘇る映像も、
実に美しい。

まあ、映画ファンが喜びそうな設定。
正直「ベタ」というか、「お約束」というか、
「ありがち」というか。

『ラ・ラ・ランド』も、昔の「よきハリウッド」への
ベタなオマージュ作品でしたが、
完成度が高ければ、それでいいんです。

『今夜、ロマンス劇場で』も、
「よくある話だよね」と最初、なめてかかっていた。
 
しかし、後半、やられます。

どうみても「予定調和」のありがちなラストしか予想できないのですが、
それを極めて良い意味で裏切ってくれる。

やっぱり、「映画」なんだよね。

映画とは、イマジネーション。
映画とは、記憶。
そして、映画の自由度。
 
時代の変化に、映画の栄枯盛衰の歴史もかぶります。

デジタル上映が主流となった現在、
フィルムで映画を上映する時代も、もはや終わろうとしている。

そんな映画上映の歴史み、この映画のストーリーと
微妙にかぶります。

そういえば、
私も学生の頃は、年間200本を映画見ていた
(当然、全て映画館で)、チョーのつく映画バカ。
名画座にも毎日のように通っていました。

そういえば、大学の頃は、
自主映画も撮っていましたね。

当然、『ローマの休日』も『カサブランカ』も
『隠し砦の三悪人』も、『オズの魔法使い』も映画館で見ました。

そんな映画バカの私が、
この映画に共感しないわけがありません。

「片思い」、というか「成就しない恋」というか。
最近では珍しいかもしれませんが、昔懐かしいパターンです。

ちょっと恥ずかしくなるような。
胸キュン映画でもあります。

まあ、自分が映画ばかり見ていた青春時代に
タイムスリップさせてくれるような映画です。

今年見た映画の中では、堂々のナンバーワン。
映画愛にあふれた、いい映画と出会えました。

『今夜、ロマンス劇場で』公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/romance-gekijo/index.html