クリント・イーストウッド監督の『15時17分、パリ行き』
私が「予告編」から想像していたのとは、全く違った映画でした。
(以下、映画のストーリーについて言及しています。)
パリ行の新幹線で起きた、テロ事件。
テロリストの銃乱射を、命がけで阻止した3人の青年。
そんな新幹線内の攻防を描いた作品かと思いきや、
映画の90%は、事件の前の状況を描き出し、
特に彼らが小学生の頃のエピソードが長いのです。
3人の少年は、学校の問題児。
毎日、簡単な約束も守れず、すぐに暴言を吐き、
毎日、校長室に呼び出されます。
あるシーンでは、母親が呼び出され、
担任から、子供たちはADHDの疑いがあるので、
服薬治療を受けた方がいい、とアドバイスを受けます。
母親は激怒して、絶対に薬なんか飲ませない!
と言い、担任に罵声を浴びさせて、部屋を出ていくのです。
ADHDというのは、注意欠陥多動性障害。
不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、
衝動性(考えずに行動してしまう)
ADHDの発症率は、20人に1人と言われます。
クラスに1人か2人はいる計算で、
決して珍しい病気ではありません。
日本でも、自分の子供が、ADHDなどの発達障害、
あるいは、アスペルガー症候群のような自閉症と診断された
という方はたくさんいると思います。
私のFacebookで「友達」としてつながっている方で、
自分の子供がそうした診断を受けたという方を、
ここ1年だけでも二人いました。
自分の子供がADHDと診断されても、
「人生が終わった」とあきらめることは全くありません。
ある研究によると、
ADHDの主症状のうち多動性、
不注意症状は成人期まで持続しているケースもある。
と報告されています。
ADHDと診断されても、
大人になったら普通に生活している人はたくさんいます。
あるいは、偉人と呼ばれる人に、ADHDは多い。
トーマス・エジソン、坂本龍馬、
ジョン・F・ケネディ大統領などは、
ADHDであったと考えられています。
ADHDは病気というより、特徴です。
多動性、衝動性。
「じっとしていられない」ということは、
学校の中では「座って授業を受けられない」
坂本龍馬の場合は、
あるいは、不注意症状というのも、
自分の本当に好きなことに関しては、
集中力を高めて、没頭したり、
発明に没頭したエジソンのように。
例えば、ADHDの症状
「多動」は、「エネルギッシュ」
「衝動性、気分の浮き沈みが強い」は、「感受性が強い」
「集中できない」は、「創造力が豊か」
「話を聞かない」は、「独創性がある」
「飽きっぽい」は、「新規追求性がある」
と、「長所」としてとらえることもできるのです。
ということで、ADHDに限らず、
メンタル疾患全般に言えることですが、
「病気」ではなく「特徴」「長所」である。
それを「特徴」として、「長所」として活かせるように、
応援してあげればいい。
それが、家族や学校関係者や医療関係者の役割だと思います。
しかし実際は、「診断」というレッテルを貼って、
教室でおとなしく授業を受けさせるために、
覚せい剤と構造式が似たADHD治療薬を飲ませている
のがADHD治療の現状かもしれません。
さて、映画『15時17分、パリ行き』に戻ります。
この映画の主人公たちは、
小学校の頃、ADHDの疑いがありました。
しかし、彼は、テロリストが新幹線で銃乱射しようとした瞬間、
一瞬の迷いもなく、命がけで犯人に突入して、
このように猪突猛進で突き進んでいく性質というのは、
ADHDの一つの特徴とも言えます。
普通の人であれば、
「死んだらどうしよう」とか迷いや躊躇があるはずですが、
主人公が迷いなく突入できたのは、
「ADHDだからできた」ということが言えそうです。
ということで、この映画の中でADHDは、
「病気」や「障害」といったネガティブなものではなく、
「特性」「特徴」、いや「長所」として捉えている!!
これは、かなり画期的な捉え方であり、
クリント・イーストウッド監督の
「勇気ある冒険的な映画」だと思いました。
追伸1
ADHDと診断されたら、
それについてまとめた動画がコチラ。
3万回再生!!
「精神科医 樺沢紫苑の樺チャンネル」
『ADHD(注意欠陥多動性障害)を治す方法』(5分51秒)
https://youtu.be/VnAAg_H3tjw
追伸2
ADHDは、長所である。
この漫画を読むと、スッキリわかります。
「ADHDのメリットは!?」
https://yuk2.net/man/260.html