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神戸で伝説的バーテンダーのカクテルを飲む

学会で神戸を訪れた夜。

 

夕食も食べて、満腹になったところで、
やはり「神戸のバー」に繰り出したい、
という衝動に駆られる。

 

神戸、三宮のバーといえば、やはりSAVOY KITANOZAKAだろう。

バーテンダー歴50年、71歳の伝説的バーテンダー、木村義久さんの店である。

 

カクテル「ソル・クバーノ」(キューバの太陽)の考案者としても知られる。

さて、伝説的バーテンダー、木村さんとは、どのような人なのだろう。

なんか敷居の高そうなバーのイメージもある。

しかし、神戸、三宮まで来た以上、
ここに訪れずに帰るのはもったいないという。

 

ということで、
おそるおそる、「SAVOY KITANOZAKA」のドアを開く。

 

8時半だというのに、全席満席じゃないか・・・。

 

若いバーテンダーが2人いたが、
ちょうど、木村さんがお客さんの見送りしていた。

 

そして、木村さんが自ら「こちらへどうぞ」と、
やわらかな物腰で私を席に案内してくれた。

 

一番、端の席が一つだけ空いていたのだ。

 

事前に予想した敷居の高さは全くなく、
木村さんの柔らかなものごしに、気分も和らぐ。

 

さて、オーダーは何にしよう?

オリジナルカクテルの「ソル・クバーノ」で行こうか。
いや、実はオーダーは決まっている。

 

「ダイキリ」である。

 

私は、初めて訪れたバーでは、
まずダイキリを頼むことにしている。

 

ウイスキーをストレートでもらっても、
バーテンダーの力量はわからない。

 

そこで、いつも同じカクテルを頼んで、
バーテンダーの技術。
そして、その店のカクテルの傾向を標準化するのだ。

 

若いバーテンダーがオーダーを聞いていた。

迷わず、「ダイキリ」。

 

その瞬間、一瞬、嫌な予感が走った・・・。





寿司屋の名店、「すきやばし次郎」に行っても、
伝説的寿司職人、次郎さんに握ってもらえるとは限らない。

 

まさか、この若いバーテンダーがカクテルを作るのか・・・。





その瞬間、若いバーテンダーが、
「ダイキリを」という伝言を、
カウンターの中央にいる木村さんに伝言した。

 

ホッとした。

 

後でわかったことだが、この店のカクテルは、
全て木村さん本人が作っていた。

 

流石である。

 

お客さんは、それを目当てに来ているのだ。
それが、最高のサービス。

 

木村さんのシェイキングがはじまった。

 

えっ!





ものすごく、「やわかい」シェイキングである。

 

氷とシェーカーがぶつかる激しい音はない。

 

ふわっと全てを包み込むような母性的なシェイキングである。

 

こんなシェイキングは、なかなか見ない。

そして、出来上がったダイキリを一口。

 

 

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うん。

ものすごーーく、柔らかい。
綿菓子のような、ほわっとしたやわかな口当たりのダイキリ。
これは、飲んだことがない。

 

通常、ダイキリは、スッキリ、シャープな飲み口のものが多いのだが、
真逆だ。そこに驚く。

 

実に、飲みやすいカクテルである。

 

二杯目は、
オリジナルカクテルの「ソル・クバーノ」を注文。

丸型のトロピカルカクテルのグラスに入り、
グレープフルーツでフタがしてある。

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一口飲む。
これまた、飲み口がやわらか。
この「やわらかさ」が、木村さんのカクテルの特徴のようだ。

 

最初は満席であったが、
「ソル・クバーノ」を注文するころには、
客は半分以下に減っていた。

 

余裕もできたせいか、木村さんが、
初見の私に話しかけてきた。

 

樺沢「ダイキリもソル・クバーノも、とてもやわらかいですね。」
木村「はい、でもしっかりお酒は入っていますよ」

 

その言葉に、しっかりとお酒を使いながら、
それを飲みやすく出すことにこだわりを持って
カクテルを作っている信念が伝わった。

 

そして、何よりも木村さんの物腰がやわらかい。

 

格式ばったところも、偉ぶったところも全くない。

 

常連の方にも、初見の私にも、同じように対応しているし、
さりげなく全員と会話している。

 

一言で言うと「ニュートラル」である。

 

 

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伝説のバーテンダーと2ショット

 

 

 

バーテンダー界の重鎮でもある木村さん。
そんな様子は、微塵も感じさせない。

 

お店が、とてもくつろげる空間になっているのだ。

 

これが、プロの接客というものか・・・。

 

人間、知識・経験を積むほどに、
おごり、高ぶり、傲慢さなどが出てしまう。

 

それを全く感じさせないというのは、とてもすごいこと。
道を極めるとは、そういうことなのだろう。

 

そして、
最後に、会計をみてビックリ!!





3,000円ピッタリ!
明朗会計で、コスパもいい。

 

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「余市」がとっても充実

 

 

 

ということで、最高の夜を神戸、三宮で過ごした。

 

 

 

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