書評/映画評

人魚の眠る家 〜「死」とは何かを考えさせられる

チョー骨太な映画を見ました。

東野圭吾原作の『人魚の眠る家』。

超ヘビー級の重量感。
そして、魂も揺さぶられました!!

事故により、脳死が疑われる状態となった娘。
最新科学技術を駆使して、娘を救おうとするものの、
身体は回復するものの、意識は戻らない。

心臓は動いて身体活動はしているが、
意識は全くない。

そんな状態を、「生きている」と言えるのか?
娘を生かし続けることは、家族のエゴ(自己満足)なのか?

とはいえ、娘の治療をやめて、臓器提供する
という決断も、そう簡単にできるものではありません。

脳死は人の死か?
生きる、生きているとはどういうことなのか?
そして、「死の受容」の難しさ。

「脳死」をめぐる様々な問題を、
サスペンスタッチの展開で描かれます。

科学の進歩によって引き起こされる「死」の範囲の変化。
それを受け止める人間の感覚、倫理観、道徳観が問われます。

東野圭吾原作の映画化。東野作品といえば、
娯楽色の強い作品が多い印象ですが、
こうしたチョー骨太な作品も書いているのですね。

篠原涼子の鬼気迫る演技がすごかった。
また、祖母役の松坂慶子がいい味だしていました。

見ていてものすごく苦しくなり、
ときにどん底の気分に突き落とされながらも、
意外にもラストの後味は良く、爽やかな涙が流れます。

チョー骨太な医療サスペンス。

万人向けではありませんが、
今年見た、数少ない「魂を揺さぶられる映画」の一本です。

『人魚の眠る家』 樺沢の評価は ★★★★

 

 

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