書評/映画評

脳に悪い生活習慣が明らかになった!! ~『やってはいけない脳の習慣』

久しぶりにホームラン本が出ました!!

長時間のゲーム、テレビ、スマホ、SNSが、
脳に悪影響を及ぼしそうだ・・・
ということは、昔から言われています。

しかし、脳科学的に明らかな研究、データがあるのか、
というと、実はあまりないのが現状です。

ということで、以前より、

「長時間のゲーム、テレビ、スマホ、SNSが脳に悪い!」
という研究論文を探していましたが、
はじめて説得力のあるデータと出会えました。

それが、
『2時間の学習効果が消える! やってはいけない脳の習慣』
(横田晋務著、川島隆太監修、青春出版社)
https://amzn.to/2vfmS74
です。

脳トレで有名な東北大学の川島隆太教授と
仙台市教育委員会が協同で行っている
「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」の結果を中心に、
脳に悪い生活習慣が描き出されます。

このプロジェクトは、小中高生7万人を対象に行われた
非常に大規模な研究です。

これだけの規模で、
スマホやSNSの利用による成績への影響を調べた研究は、
世界的にみても(おそらく)ないと思います。

そこで示される、衝撃的な結果。

まずは、
「スマホを使えば使うほど、成績が下がる!」。

スマホの使用時間が1時間増えるごとに、
数学、算数の成績が約5点ずつ減っていく、

という結果が出ています。

こうしたデータを見ると、
「スマホを使う時間が長くなると
 相対的に勉強時間が減るから成績が下がるのではないか」
という反論が必ず出ます。

それに対しての反証も用意されていました。

同研究では、
勉強時間を「30分未満「30分~2時間」「2時間以上」の
3グループにわけて分析しています。

勉強時間が同じそれぞれのグループにおいて、
スマホの使用時間が増えるほど成績の低下が認められるのです。

つまり、
勉強時間に関係なく、スマホを長時間使うと、
成績が下がります。

恐ろしいことに、
「2時間以上」勉強をしているというのに、
それでもスマホを使うと成績は下がるのです。

さらに、恐ろしいのは、
LINEの使用時間と成績の関係です。

結論を言うと、
「LINEを使用すると、深刻な成績の低下をきたす」
という結果が出ています。

やはりここでも、
「勉強を2時間以上しているグループ」でも、
LINEを4時間以上すると成績が著しく下がってしまうのです。

勉強時間2時間、LINE4時間以上の生徒の点数は約49点に対して、
勉強時間30分未満でLINEをしない生徒の平均は59点でした。

LINEをしない生徒は、勉強時間が短いにもかかわらず
10点も高い成績を出したのです。

繰り返します。

「LINEをしない勉強時間30分未満の生徒」の方が、
「LINEをする勉強時間4時間以上の生徒」よりも、
成績が良かったのです。
 
つまり、LINEを長時間使用すると
いくら勉強していても成績が下がる!!
 
何時間勉強しても、LINEをすれば、
全てが無駄になってしまう、というのです。

あなたは、自分のお子さんに、LINEを続けさせますか?

そもそも、自分のLINE使用時間、何時間もやっていて、
大丈夫ですか?

同様に、長時間のテレビやゲームが
脳に悪いデータも示されます

MRIによる経時的変化を観察した研究では、
「長時間のテレビやゲームをした子供は、脳の成長が遅い!」

つまり、
「脳の発達障害を起こす」
というのです。

川島教授による分析によると、
テレビ視聴やテレビゲームを長時間行うと、
その後の30分~1時間、前頭葉の機能低下が続くといいます。
 
それと同様の状態がスマホやLINEの長時間使用でも起きうる。

前頭葉の機能低下が低下した状態で、
必死に勉強しても、その間の学習効果が得られない、
と述べています。

脳に悪い生活習慣。
子供にさせるべきではない生活習慣は、
ゲーム、テレビ、スマホ、SNS。

では、脳に良い生活習慣は?

予想通りとも言えますが、
読書、朝食、睡眠、家族コミュニケーション
の4つが挙げられています。

ということで、この本を読めば、
子供にどんな生活習慣を身につけさせればいいのかが、
一目瞭然でわかるというわけです。

まあ、子供のデータではありますが、
スマホやLINEは、大人の脳にも同様に悪影響を与えているはずです。

スマホやLINEの使用は、
ほどほどにしいなといけませんね。

唯一気にかかったのは、いくつかのデータで
統計学的有意差が明記されていないことです。

この本は学術論文ではありませんが、
統計学的有意差は科学的研究には必須であるので、
その点について言及されていないということは、
有意差が出なかったのか、それとも明記してないだけなのか。

せっかくの貴重なデータも、
統計学的有意差で信憑性がガラッと変わってしまいますので、
その点は少々残念ではありません。

とはいえ、
スマホやSNSの成績(脳)に対する影響を
ここまで調べて、考察した本は読んだことがない。
 
ということで、
『やってはいけない脳の習慣』を
ホームラン本と認定します!!
 
『2時間の学習効果が消える! やってはいけない脳の習慣』
(横田晋務著、川島隆太監修、青春出版社)
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