映画『決算!忠臣蔵』が、意外と良かった。
「とりあえず笑えればいいかな」とコメディを期待しましたが、
かなり見応えのある作品になっていて、驚かされました。
そば一杯16文、480円を基準に。
現代風に当時の物価を「円」に換算して、
忠臣蔵の討ち入りにどれだけお金がかかったかを
コメディ仕立てに仕上げた作品。
京都~江戸間の旅費が、
徒歩なのに往復で片道36万円もかかる。
往復で72万円。
江戸に数人、派遣しするだけで、数百万円が消えていくのです。
昔から、忠臣蔵は、47士。
なぜ47人の少人数で討ち入りしたのか、とても疑問でした。
吉良邸には、100人ほどいたわけですから、
討ち入りも100人くらい欲しいところ・・・。
討ち入りした者は、「切腹」が確実なので、
最低限にとどめたというのが従来の解釈。
本作では、お金が足りなくて、連れていけなかった・・・と。
50人増えると旅費、武具、滞在費、滞在期間の食費などで、
3千万円ほどの追加予算が発生します。
総予算約9500万円で行われた「討ち入り」が、
100人連れていくと、完全に予算オーバーになってしまう
というのも説得力があるのです。
吉本興業とタイアップして製作されているので、
個性的な吉本芸人が大量に出演しているのも見どころ。
適材適所というか、この芸人をここにもってきたか・・・
というおもしろさもあります。
勘定方・矢頭長助を演じた岡村隆史さんが、
良い味を出していました。
あと、赤穂城の外観、赤穂の塩田、江戸の遠景など、
しっかりとCGを使って、豪華な絵作りをしているあたりが、
ビックリするというか、
「たかがコメディ」と思っていると、やられた感があります。
既存の忠臣蔵とキャラ設定が全く違う! のは、ご愛嬌。
既存の忠臣蔵も、事実とはかなり異なり、
美談にするべく、かなりフィクションが入っているわけですから。
歴史は見る角度によって全く違ったものが見えてくる、
という発見がありました。
原作の『「忠臣蔵」の決算書』は
東京大学史料編纂所の山本博文教授の著作。
金勘定の部分は、しっかりと「史実」を元にしているだけに、
ベースのストーリーが「骨太」なので、見応えがあるのです。
ということで、想像以上に楽しめた
『決算!忠臣蔵』樺沢の評価は、・・・・・・ ★★★☆ (3・9)
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