映画『ナポレオン』鑑賞。
なんという虚無感・・・。
戦争のむなしさが、
これでもか、これでもかと描かれる。
ナポレオンと言えば、
「連戦連勝」のイメージだが、
勝ち戦でも、何千人、何万人もの兵士が死んでいる。
英雄か悪魔か。
というキャッチコピー、そのまま。
ナポレオンを主役にした映画。
ほとんど見たことがないな、
と思ったら、非常に映画にしづらい題材だった
と本作を見て気付く。
一介の軍人から、フランス皇帝へ。
圧倒的な庶民の支持を得ながらも、
ロシアに苦戦し、転落。
最後は、島流しで、51歳の若さで死亡。
ここまでのアップダウンを経験した人は、
歴史上でもなかなかいないだろう。
頂点を目指すということが、幸せなのか?
そこまで頑張らなくてもいいんだ、と
「BE(そこにある)の幸福」の重要性に改めて気付く。
ホアキン・フェニックスの、
敢えて無表情、敢えて無愛想な演技からは、
「ナボレオンの野心」は、全く見えてこない。
というか、そう描いている。
というか、ジョセフィーヌへの愛こそが、
ナボレオンのモチベーションだった・・・。
「野心の人」よりも「愛の人」だった
と本作は描いているのだ。
これは、、、、意外だった。
最近見た、北野武監督の『首』と、
あまりにも共通点が多くてビックリする。
冒頭のギロチン(斬首)を見世物として描く、「衆愚」描写。
一国のトップをとっても、幸せにはなれない虚無感。
そして、戦争の不毛さ。
負ける「死」。
しかし、勝っても幸せになれない。
何のための戦争か・・・。
「首」では、戦国武将たちが愚かに描かれ、
「ナポレオン」では、貴族や政治家たちが、
無表情、無人格に描かれる。
両方の作品で、
為政者が愚かに描かれるが、
市民もまた愚かに描かれているのだ。
偶然の一致なのだろうが、非常に興味深い。
本作を作った、
リドリー・スコット(86歳)のエネルギーが凄い。
あと何作作れるかわからない状況で、この作品を作るんだ!
という驚き。
私なら、もっと人々に希望を与える、
ポジティブな作品を残したい・・・と思う。
「反戦」をテーマにするにしても、
『ゴジラ−1.0』のように、前向きに、
ポジティブに描くことは十分に可能。
「虚無感」「脱力感」たっぷりの本作のアプローチは、
様々な作根を監督してきた86歳のリドリー・スコット
だからこそ、撮れたのかもしれない。
ナポレオンは、モデリング不能だ。
そして、『首』の戦国武将、秀吉も、信長も、光秀も、
モデリング不能。
むしろ、真似ない方が幸せ。
魂は揺さぶられないし、感動もない。
そこにあるのは、虚無感と脱力感。
しかし、いろいろと考えさせられる映画ではある。
『ナポレオン』樺沢の評価は・・・・・・★★★★(4・2)
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