書評/映画評

ロケットマン ~愛されない子供に未来はあるのか?

映画『ロケットマン』を鑑賞!!

あまり目立った評判になっていないし、大ヒットにもなっていないけど、
ちょーーーーおもしろかった!!

伝説的ミュージシャン「エルトン・ジョン」の人生を描いた作品。

ですが、彼がアルコール依存症に陥り、
そしてアルコール依存症からの回復を描いた作品、
と言い換えてもいいでしょう。

冒頭、いきなり、依存症の自助グループから始まりますから。

#アルコール依存症、薬物依存症からの回復。

#父親、母親から愛されていない、というトラウマ。

#自分で自分を愛せず「別人を演じて生きる」
(心理学のペルソナ、仮面)というテーマ。

など、心の回復、精神世界を描いた作品で、
間違いなく樺沢好みの一作。
 
それでいて、突然歌い出す昔ながらのミュージカル演出が
ちょくちょく入って、
音楽映画としての完成度も高い。

名曲「僕の歌は君の歌/Your Song」が
誕生した瞬間のシーンは、涙が止まりません。

 
才能、努力、チャンス、人の支え、パートナー。
成功するためには何が必要なのか、というのも考えさせらます。
ビジネス映画として見てもおもしろいでしょう。
 
私の一番の共感ポイントは、
「本気で支えてくれる人が一人でもいれば、
人は生きていく勇気が得られる」という部分。

孤独と絶望から引きずり出すのに、
一人の人間の愛があれば十分なのだと・・・。
 
夢や幻想シーンの一つひとつにも、
心理学的な意味がひめられていてチョー深い。

見応えのある作品です。
 
『ロケットマン』樺沢の評価は・・・★★★★☆(4・5)

以下、若干ストーリーについて言及しますが、
心理学的見どころについて解説しておきましょう。

『ロケットマン』と「ペルソナ(仮面)」

エルトン・ジョンの本名は、レジナルド・ドワイト。

少年時代の内気なレジナルド少年は、
一度曲を聞いただけでピアノで弾くことができる
という凄い才能を持っていました。

息子に無関心な厳しい父親。
愛人との浮気に精を出すふしだらな母親。
唯一、祖母だけが、彼の才能を応援します。

音楽活動を始める中で、
「エルトン・ジョン」に名前を変え、
派手な眼鏡に派手な衣装を身に付け、
派手なパフォーマンスを繰り広げ、人気が大爆発します。

そして、有名になるほどに、
眼鏡と衣装はド派手になりますが、
ある意味「道化」のような雰囲気になっていく。

この映画の冒頭のシーン、
オレンジの衣装、角のかぶりものに、赤い羽根。
悪魔の衣装。

完全に場違いな衣装で、
依存症の自助グループの会に現れます。
そこから語られる、彼の過去。

心理学で、ペルソナ(仮面)という考え方があります。

社会に適応するために必要とする役割的な人格。
ペルソナが欠如すると社会不適応になる可能性がある。
ペルソナに同一化し過ぎると、心の内面に目を向けられずに、
様々なことを抑圧し、
個性が発揮できない状態になる可能性もあります。

仮面のラテン語が「ペルソナ」。
そして「ペルソナ」は、
「パーソナリティ(個性)」の語源です。

エルトン・ジョンの「派手な衣装」は、まさに「ペルソナ(仮面)」です。

元々は、シャイで無口、内気な少年であったレジナルド。

権威的な父親の前で萎縮し、自分を自由に表現できず、
抑圧されて育ったことも関係しています。

彼は、音楽という武器を手に入れ、「自己表現」をスタートします。

そして、エルトン・ジョンという名前と、
ド派手な衣装の晴れやかな人格を演じることで、
つまり「エルトン・ジョンという仮面」をつけることで、
人生が好転し始めるのです。

最初は良かったものの、
パフォーマンスが派手になり、
衣装や眼鏡も滑稽なほどにエスカレートしていきます。

レジナルド・ドワイトからの乖離(かいり)。
本来の自分とかけはなれることで、自分自身を見失い、
アルコールと薬物に溺れていきます。

ペルソナについて調べると
「ペルソナに同一化し過ぎると、心の内面に目を向けられずに、
様々なことを抑圧し、個性が発揮できない状態になる」
と書かれています。

まさに、人気絶頂期のエルトンは、この状態にピッタリです。

映画の後半で、自助グループのシーンに戻ります。

悪魔のコスプレに身を包んでいたエルトンは、
まず「角」をとり、
自分の過去の告白、自分の内面の告白が進むと、
「被り物」と「羽」をとり、
最後には、コスプレを全て脱ぎ捨てて、普通の服になっています。

衣装(=ペルソナ、仮面)ですから、
「本来の自分の心を隠さず明らかにする」という心理状態を
「衣装を脱ぐ」という映像によって、表現しているのです!!

家族からレジナルドと呼ばれると、
「俺はエルトン・ジョンだ」といちいち修正します。

親に愛されず抑圧され、内気で自己表現できなかった
「幼少期の自分」を受け入れられなかった、という表現。

だからこそ、ペルソナ(仮面)をつけて、
レジナルドではなく、「エルトン・ジョン」として生きていく必要があった。

映画のクライマックス。
エルトンの空想シーンですが、
自助グループの会場に、彼の家族やレジナルドが登場し、
彼を責めたり、彼の心を刺激する言葉を吐きます。

しかしながら最後には、エルトンは少年(レジナルド)と、
抱擁するのです!!

これ、凄い重要なシーンです。

今まで、彼は「自己否定」で生きていた。
だから、「エルトン・ジョン」という仮面が必要だった。

しかし、この抱擁シーンは、「過去の自分を認めた」。
つまり、初めて「自分で自分を肯定した!」という
彼の心理状態を映像で表現しているのです。

最近、「自己肯定感」の本がものすごく流行っていますが、
自己肯定とは、こういう「過去の自分」あるいは「自分の過去」を
肯定することで、はじめて生まれてくる。

「自己肯定感」の先にあるのが、安堵であり安心。

この瞬間、彼は「アルコール」に頼る必要はなくなった、
とも言えるのです。

「自分で自分を肯定する」というのは、言葉でいうのは簡単ですが、
実際は、そうとうに難しいらしい。

エルトン・ジョンも、何十年もかかって、
人生の絶頂と転落を経験し、はじめて自分を肯定することができた!

そんな、
「エルトン・ジョンの自己否定から自己肯定への壮大な人生」
を描いた物語なのです。

世界の音楽史にその名を刻むエルトン・ジョン。

しかし、その内面は、
親の愛情不足と、自己肯定できない自分に苦しむ。
私たちにも、誰にでもありえる、物語であった。

「Your Song」というか、「Your Story」。

この一見、波乱万丈なストーリーは、
あなたにも通じる物語(Your Story)なのです。

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