モバイル接続を遮断するだけで
注意力、メンタルヘルス、幸福度が改善した
「スマホ利用をパソコンに置き換えることで、
スマホによる脳へのダメージ、
メンタルへの悪影響を減らせる」
という樺沢の仮説を、
以前より、動画などでお伝えしてきました。
欧米圏でのスマホに関する研究のほとんどは、
スクリーンタイム(スマホ、タブレット、パソコンなど
を合算したインターネット使用時間)をベースに
しており、スマホとパソコンを分けて調べた研究は
ほとんどありません。
今回、
「スマホよりもパソコンの方が悪影響が少ない」
という樺沢の持論を、大きく支持する研究が
発表されましたので、紹介します。
【研究内容】
本研究では、スマートフォンを通じた常時インターネット接続を
遮断することが、心理的機能にどのような影響を及ぼすかを
明らかにするため、1ヶ月間にわたる無作為化比較試験を実施した。
研究では、モバイルアプリケーションを用いて
参加者のスマートフォンにおけるモバイルインターネットアクセスを
2週間完全に遮断し、その遵守状況を客観的に追跡した。
この介入は特にスマートフォンを「スマート」たらしめる機能
(モバイルインターネット)を対象としており、
参加者はモバイル通信機能(テキストメッセージや通話)や
非モバイル経由のインターネットアクセス
(デスクトップコンピュータなど)は維持できるよう設計されていた。
本介入により、精神的健康度、主観的幸福感、
および客観的に測定された注意持続能力が改善した。
参加者の91%が、何らかの改善を示した。
媒介分析の結果、これらの改善の一部は介入が
人々の時間配分に与えた影響によって説明可能である
ことが示唆された。
モバイルインターネットへのアクセスが制限された場合、
参加者は対面での社交活動、運動、自然の中で過ごす時間を
より多く取るようになった。
これらの結果は、モバイルインターネットを遮断することが
重要な心理的アウトカムの改善につながるという因果関係を
示すものであり、常時インターネット接続という現状を維持する
ことが時間の使い方、認知機能、およびウェルビーイングに
悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している。
【グラフの見方】
モバイルインターネットを2週間遮断した後、注意力、精神的健康、
およびSWB(行動と思考の関連性)が改善した。
介入群(青)では、
参加者はT1からT2までモバイルインターネットへの
アクセスを遮断した。遅延介入群(赤)では、
参加者はT2からT3までモバイルインターネットへのアクセスを遮断した。

【樺沢の解説】
この研究のユニークなところは、
「モバイルインターネットを遮断」、
すなわち外出や移動中のスマホ利用を制限
しているものの、
パソコン(固定回線)や、テキストメッセージや
通話は利用できた、という点です。
完全に「ネット断ち」しなくても、
モバイルでの利用を控えるだけで、
注意力、メンタルヘルス、幸福度は、
大きく改善するのです。
本研究の研究者は、
それらの指標が改善した理由を
スマホを使わない時間に、
「対面での社交活動、運動、自然の中で過ごす時間」
が増えたからと考察していますが、
それだけではないでしょう。
スマホは使わなくても、机の上に置いてあるだけで、
集中力を下げる、ということがわかっています。
スマホを持ち歩いているだけで、
「スマホを見たい!」という誘惑が、
脳のリソースを消費し、集中力を下げている。
脳を疲れさせているのです。
スマホを持ち歩かないことで、
「スキマ時間にスマホをしない」ことになるので、
歩いている時、電車に乗っているときに、
脳を休ませることもできるでしょう。
スマホを持ち歩かないということは、
社会人にとっては、現実的に困難でしょうが、
「外出中のスマホ」を減らして、
パソコン中心の利用に切り替えることで、
脳への負担、メンタルへの悪影響を
大幅に減らすことが可能である、
と考えられます。
ちなみに、私はずっとそのスタイルで、
ネット接続時間の95%以上が、パソコン経由です。
【引用元論文】
Blocking mobile internet on smartphones improves sustained attention, mental health, and subjective well-being.
February 2025PNAS Nexus 4(2)
DOI:10.1093/pnasnexus/pgaf017
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