先日、樺沢塾メンバー限定で開催した
「樺沢と美術館鑑賞してアウトプットする会」で、
上野の森美術館の「ゴッホ展」をみんなで見に行き、
その後、おいしい中華料理を食べながら、
シェア会(アウトプット)をしました。
その時に出た質問。
ゴッホの絵で、人物の周りに、
黒い「縁取り」が書かれているものがありましたが、
それはどういう意味なのでしょう?
例えば、「ルーラン夫人ゆりかごを揺らす女」。
引用元:
https://ja.wikipedia.org/wiki/ルーラン夫人ゆりかごを揺らす女#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:La_Berceuse_Augustine_Roulin_Otterlo.jpg
こんな感じです。
小学生の描いた絵なら、こうした「縁取り」はあるかもしれませんが、
明らかに、この「縁取り」は不自然です。
もちろんゴッホの人物画でも、「縁取り」が全くないのもあります。
また、風景画や家や植物を描いた作品にも、
「縁取り」がついているのもあります。
精神医学的に考えると、「縁取り」の意味は明解です。
ゴッホは、「統合失調症」だったという説がありますが、
この「縁取り」こそが、その証拠の一つといえるでしょう。
「統合失調症」は、幻聴や被害妄想などの症状を呈する病気、
という認識だと思います。
症状はそうなのですが、本質はそこではありません。
「統合失調症」の精神病理学的な特徴は、
「自我境界が曖昧になる」ことです。
つまり、自分という枠組みがあいまいになる。
自分と他者の区別が付きづらくなる、ということ。
具体的には、「自我漏洩」症状というのがあって、
自分の内面的な情報(感情や思考)が他者に伝わったと感じる場合があります。
そんな感覚が基盤にあるために、
「テレパシーで自分の思考が読み取られている」
「部屋に盗聴器が仕掛けられている」
といったことを言い出します。
幻聴というのは、もともとは自分の考えですが、
統合失調症では、
明らかに「他人の声」として、ありありと聞こえます。
「自分の考え」なのか「他人の考え(声)」なのかが
区別がつかなくなった状態が幻聴として、体験されるのです。
ゴッホの「縁取り」は、
このあいまいになりつつある自我境界に対する、
「防衛」、あるいは「バリア」のように見えるのです。
自我防衛の曖昧さ。
この図がとてもわかりやすいです。
引用元:
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/carbon-assets-production/uploads/ckeditor/pictures/14299/content_5e9f3a4a-73f6-49f1-bcdb-9215d217b6ac.jpg
統合失調症では、自我の輪郭が薄くなっているのです。
ですから、せめて人物の境界、人物の輪郭を、
絵画の中で太く書こうとしたのではないか・・・という。
推測ができます。
先日のゴッホ展でも、
サンレミの療養所に入所中に書かれた絵で、
木の幹、木の根っこが、黒い輪郭で書かれたものがありましたが、
同じ様な意味合いだと思います。
輪郭を書かないと気がすまない、という。
こんなふうに、「深読み」しながら絵画を鑑賞すると、
ものすごく楽しい。
そして、それをアウトプットすることで、自分の考えも明確になり、
記憶にも残り、「質問」されることで、
自分にとっての「当たり前」が、他の人には重要な「気付き」
であることを再発見し、今日のような記事を書くことができるのです。
絵画鑑賞という「インプット」を
シェア会でアウトプットする。
感動と学び、気付きが2倍、3倍に増幅されます。
追伸
樺沢塾では、
「樺沢と美術館鑑賞してアウトプットする会」
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また、月に2回の動画撮影会&懇親会も開催しています。
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