映画『楽園』。
そのタイトルとは真逆に、超ダークな作品。
それは、悲惨な「犯罪」を扱っているから。
見終わると、超重たく、ヘビーで、どんよりとした気分になります。
それは、
アカデミー作品賞の『ムーンライト』にも匹敵する陰鬱さ。
ただ、『ムーンライト』のような超陰鬱な作品が、
アカデミー賞を獲得するというこは、そうした作品を好む人が
少なくないという根拠でもあります。
人間の心の闇、善と悪の境目、トラウマと記憶、
田舎の生活と良さと悪さ、閉鎖性、限界集落の存続
など様々な不条理が対比されて描き出されています。
しかしながら、『ムーンライト』と比べると、
『楽園』にはささやかな「救い」があります。
でも、これを「救い」と言っていいのか・・・。
いや、「救い」でしょう。
誰でも、つらく「苦しい」過去を背負っている。
そこに押しつぶされて、その後の人生をダメにするのか。
決着をつけて、次に進んでいくのか。
事件に巻き込まれたことは、「不運」ではあるが、
その後の人生は、自分で「選べる」。
Y字路のどちらを進むかで分かれた、二人の少女の運命。
私達の人生は、自分で「選べる」のだから、
「希望」のある選択を、勇気を持って選べばいいのだ!
佐藤浩市、綾野剛、杉咲花らの演技も、見応えがありました。
佐藤浩市は、最近の日本映画に、3本に1回くらいの高確率で
出演している気がしますが、
本作はそれらの最近の作品と比べても、
「善人キャラ」の佐藤浩市の外見が、ストーリーと深く関わって、
非常に深い味わいを出していました。
芥川賞作家、吉田修一の短編集が原作。
吉田の映画化作品は、『パレード』『悪人』『怒り』、
いずれも重苦しく陰鬱。
この世界観が好きな人はいいかもしれないが、
ベタな娯楽映画好きだという人には、
決しておすすめできない骨太の問題作。
『楽園』 樺沢の評価は・・・・ ★★★★ (4・0)
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