書評/映画評

『怪物』だーれだ? それは、自分

昨日、是枝裕和監督の新作『怪物』を、
台風の豪雨の中、公開初日鑑賞しました。

是枝監督作品は、ずしん、ずしんと心に響く、
ボディブローを連打されるような作品を作ります。
本作も、もちろんそう。
 
冒頭の30分を見て、
「これが最後まで続くのなら、途中で席を立とう」
とすら思いましたが、大丈夫です。
救いがあります。

究極的に追い詰められると、自殺を考えるかもしれない。
しかし、そうならないで欲しい! 
という是枝監督の「思い」に強く共感しました。
   
学校でのイジメ。教師の体罰。
ことなかれ主義の校長の対応。
真相は、どこにあるのか? 
それは、「藪の中」。
黒澤明監督の『羅生門』の、学校版です。

私がYouTube動画でいつも言っているように、
ネガティブな視座で見ると、「ネガティブな世界」しか見えてこない。
でも、なかなかニュートラルに見ることは難しい。
あなたの見ている世界は、真実を見ていますか? 
と突きつけられます。
  
そして、「生きづらさ」の問題。
この映画に出てくる人物、全員が「生きづらさ」を抱えています。
誰でも、生きづらい。そこを、何とか、あがき、
もがきながら、みんな生きているのだ・・・と。
だから絶望することなどない!
あなたに寄り添ってくれる人が必ずいる!
 
私は、そのメッセージ性に強く共感しました。
見ていて「苦しい」作品ではありますが、今までの是枝作品と比べて、
圧倒的な「救い」を私は感じました。

「怪物だーれだ?」という問い。
誰もが「怪物」の一面を持っている。

差別、偏見、先入観が生む「怪物」。
自分にも、その一面があるかと気付くと、ぞっとするのです。

「生きづらさ」と感じている人に見て欲しい映画です。

『怪物』樺沢の評価は・・・・・・★★★★☆(4・6)

『怪物』予告編はコチラから
https://youtu.be/S3XB1sFhQiA

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