書評/映画評

#スージー・サーチ ~承認欲求の暴走!?

映画『#スージー・サーチ』。
 
最近、承認欲求について考えることが多いのですが、
「SNSと承認欲求」を描いているのが、
この『# スージー・サーチ』です。

 
大学生のスージーは、ポッドキャストで
未解決事件の解説配信を続けていますが、
全くフォロワーが増えません。
 
ある日、同級生でYouTubeインフルエンサーの人気者、ジェシーが
失踪するという事件が起きます。

彼女はジェシーの調査を開始し、
ついにジェシーを発見することに成功!

学内やテレビなどから、
脚光を浴びるのですが、
そこから事態は思わぬ方向へと転がっていきます。
 
友達もいない、孤独な大学生のスージーは、
承認欲求が強め。

ポッドキャストをバズらせて、
「有名になりたい!」という強い願望を持っていました。

それは、良いのです。

しかし、彼女には有名になって何をしたいのか?
というビジョンが、なかった。
 
そこが、承認欲求を暴走させる
引き金になったように思います。

 
私もYouTubeのフォロワーを増やしたい!
という承認欲求を持っていますが、
そこはプロセスであって、目的ではありません。
 
私のYouTubeを1人でも多くの人に
見ていただくことで、
メンタル疾患の予防につながる!
 
1人でもいいから、
病気にならないで欲しい。
病気になる前に、生活習慣を整えて、
調子良くなって欲しい!
というのが、ビジョンです。
 
だから、フォロワーが50万人を突破するよりも、
「朝散歩で調子がよくなりました!」という
一個のコメントの方が、よほどうれしいのです。
 
スージーの場合は、
「事件を解決して世間のためになる」
というビジョンがあったはずですが、
有名になった後に、
新しい事件に挑む様子もありません。
 
「数字を増やす」ことを目的にしてしまうと、
簡単にドーパミンの報酬系にとりこまれ、
依存症になってしまうのです。

 
数を増やしたいために、魂を売ってしまっても、
全くおかしくはないのです。
 
10代、20代の人たちは、
本作を見てどう思うでしょう?

 
自分も、SNSをやりたい!
インフルエンサーになりたい!
と思うのか。
 
それとも、
SNSは怖ろしい!
と思うのか。
 
SNSなんて、所詮、道具なので、
使い方次第なのです。

つまり、本人次第。

上手に使えば、
自己実現も社会貢献もできます。
 
欲の虜になると、倫理も失い、
手段を選ばなくなる・・・。

 
その結果は、悲惨なものになるのは、
誰にでもわかるでしょう。
 
本作は、問題提起、風刺としては、
非常におもしろいです。

しかし、ストーリー展開が、ややご都合主義で、
ぎこちないところが気になります。
「衝撃のラスト」も、だいたい予想はつきます。
 
しかしながら、
失踪するジェシーは、大学生ながらYouTuberで
インフルエンサーであり、大学の人気者という設定は
興味深い。
 
SNSのフォロワー数が、
現実世界での「人気」とも相関している。
 
SNSは危険。危うさを抱えている。
とはいえ、SNSは無視できない。

そんな、アメリカの若者が抱える現状を
見事に描き出している点は、
非常に興味深いのです。

『#スージーサーチ』樺沢の評価は・・・・・・ ★★★★ (4・1)

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