昨日は、東京都美術館で開催中の
『ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜』を見てきました。
非常によかったです。
ピーテル・ブリューゲル1世から始まる、子、孫、ひ孫に至る
一族、150年の歴史を、その作品とともに振り返る、という
壮大な企画。
2014年に開催された
『ブリューゲル「バベルの塔」展』で、
ブリューゲルへの関心が高まったからこそ、
実現した企画と言えるでしょう。
以前、お伝えしたように、
ブリューゲルが私の最も好きな画家であり、
その代表作「バベルの塔」は私が最も好きな絵画であります。
ピーテル・ブリューゲル1世の子、
ピーテル・ブリューゲル2世、ヤン・ブリューゲル1世
ピーテル・ブリューゲル1世の孫にあたる、
ヤン・ブリューゲル2世などの作品を、
世界の美術館で、時々見ることがありますが、
それらの作品をまとめて見られるチャンスははないので、
各人がどんな作風で、何を目指し、どんな作品を残していたのか。
ヤン・ブリューゲル1世が「花」の絵が有名、
くらいしか知りませんでしたので、
今回の子、孫、ひ孫までの4代にわたる
「系統」だてた展示には、たくさんの驚きがありました。
今回、全100作品の展示。
それも、ほとんどが日本初公開といいます。
また、「個人所蔵」がほとんどたったので、
「どこかの美術館に行けば見られる」というものでもない。
極めて貴重な企画展だったと言えます。
今回、フランドルの「風景画」がまとめて展示されていましたが、
私はあまり「風景画」に関心がなかったせいか、
その「見方」「楽しみ方」というのを全く知りませんでした。
今回音声ガイドを聞きながら、
「風景画」の「見方」「楽しみ方」がよくわりました。
私の大好きなピーテル・ブリューゲル1世の作品は、
今回は「版画」の下絵が何点か。
「武装船」以外の作品は、
「最後の審判」「金銭の戦い」は、
以前、見たことがあるので、その点でいうとやや残念。
しかし、他に見ごたえがある作品がいくつもありました。
特に、ヤン・ブリューゲル1世の「花」の絵がすごい。
不思議なことに、3Dのように絵が立体的に見えるのです。
さらに、「てんとう虫」や「蝶」なとが書き込まれているのですが、
ものすごく小さい(ほぼ原寸台かそれ以下)なのに、
ものすごくリアルに書かれていて、いまにも動き出しそうです。
花瓶にいけられた花。
それは「静物画」と言われますが、動きがないわけではなく、
花びらや虫たちが今にも動き出しそうな、
動きのある「静物画」に圧倒されました。
ピーテル・ブリューゲル1世の次男、ヤン・ブリューゲル1世は、
花の静物で一世を風靡しますが、
長男のピーテル・ブリューゲル2世は、
父ピーテル・ブリューゲル1世の作品の模写に精力を注ぎました。
人気のある作品は、50枚、100枚と、すごい数を模写して、
販売していく、という戦略。
絵画って一点ものじゃないんだ!
というのは、新しい発見です。
ピーテル・ブリューゲル2世の「鳥罠」の模写作品が、
今回展示されていました。
この「鳥罠」という作品は、
ピーテル・ブリューゲル1世の作品なのに、
「2世」の作品と表示されていておかしいなあ・・・
と思ったのですが、
量産された「模写」の一つであると知って、
納得しました。
ということで、たっぷり2時間、
100枚の作品群を堪能しました!
いやあ、楽しかった。
絵画鑑賞はおもしろい!!
これで入場料1,600円は、絶対に安いです。
ということで、芸術脳を刺激する、
気分転換、癒やしという意味においても、
絵画鑑賞を強く、お勧めします。
『ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜』
https://www.tobikan.jp/exhibition/2017_bruegel.html