精神科医の悩み相談室

「後悔」から永久に解放される方法 〜精神科医の悩み相談室

YouTube「精神科医・樺沢紫苑の樺ちゃんねる」では、
読者のみなさんからの質問を募集しています。
https://impulse-ex.com/L2334/h58665/312871

毎日、5件ほどの質問が送られてきます。

毎日、YouTube動画を更新しているものの、
1日1問しか答えられない。

しかしながら、質問をお送りいただいたのに、
放置しておくのは申し訳ない。

ということで、一問一答形式の記事として、
質問にお答えしていきたいと思います。
毎日送られてくる、みなさんのたくさんの「悩み」を読んでいると、
人間の悩みは、いくつかのパターンに集約できることがわかります。

それに対して、解決法というのは、実にシンプル。

今回は、「後悔」と「罪悪感」に関すると、
6人の悩みをまとめて解決します。

■質問1

失敗ではなくトライ&エラーの動画拝見しました。
以前、引き寄せの法則にハマり、
他人のネガティブな話や愚痴や相談をされた際、
聞きたくないと言ったり、
ポジティブにいこうよ等と安易に励ましてしまったり、
説教をしてしまいました。
今、改めて振り返ると罪悪感が残ります。
罪悪感の払拭方法はなにかありますか?
(ぷろむさんも、26才、女)

■質問2

仕事でミスをするとメンタルが弱くなり、後を引くことが多く
オロオロしてしまう事がよくあります。
メンタルを強くする方法がありましたら教えて下さい。
(らんさん、、50才、女)

■質問3

過去に、友人に対して怒ってしまったことを1年以上引きずって
落ち込んでいます。

他人を怒ってしまったことによる後悔や罪悪感や反省から
抜け出す方法はあるのでしょうか?

相手とは、そのまま絶縁したので謝罪もできません。
絶交する際にも、謝罪もしたのですが、
同時に絶交宣言もしてしまいました。
(いえよさん、29才、女性)

■質問4

過去に友人と仲違いした事を思い出して、
『あの頃は自分が正しいと思っていたけれど今になって思えば、
間違っていたのは自分だったかも』と恥ずかしい気持ちになりました。

相手とは絶交・絶縁してもう終わったことです。
ですが、人に対して間違った説教をしてしまった過去、
価値観を押し付けてしまった過去を
どう反省し乗り越えれば良いでしょうか?

トライ&エラーの動画も拝見しましたが、
人の気持ちを不快にさせてしまったことや、
縁を切ってしまったことも、
そのように都合よく捉えて許されるのでしょうか?
励ましのご意見を宜しくお願い致します。
(まんだりんさん、30才、女性)

■質問5

ぼーっとしている時や暇な時に過ぎてしまったことをを思い出して
もう一度その場面であの時ああしていればと反省したり
後悔してしまいます。こんな場合どうすれば良いのですかね?
(Aさん、女性)

■質問6

過去の自分を許すにはどうすればいいでしょうか。
25歳頃に、友達からの相談を受け、ネガティブよりポジティブにいこうよ、
自信もちなよ!自分を大切にしなよ。と励ましたところ、
『自信ある人なんてこの世にいない、いたとしても痛い勘違いヤローだ。
いつもポジティブでいれるわけなくない?!』
とブチ切れられ、結果縁は切れましたが、
あれから時を経て、私が間違ってたのかなと悩んでいます。
(りうるさん、30才、女)

【回答】
具体的な出来事、体験に若干の差異はありますが、
過去の「自分の行動」「自分の失敗」に対して、
現在も「後悔」「罪悪感」をもち続けている。

その「後悔」「罪悪感」で苦しみ続けている。

その「後悔」や「罪悪感」を解消する方法はないのか?
というものです。

あります!!
とても簡単な方法です。

それは、
「フィードバックする」ということです。

正確に言うならば、
とにかく全ての出来事(アウトプット)について、
フィードバックする習慣をつける。

ある程度、フィードバックできるようになったら、
過去の出来事(失敗体験、後悔している出来事)について、
フィードバックする。

それだけです、

拙著『アウトプット大全』では、
「インプット→アウトプット→フィードバック」を繰り返すことで、
自己成長が生じる!
ということを、繰り返し、強調してお伝えしました。

逆にいうと、何か行動を起こす。アウトプットをしても、
フィードバックしないとするならば、
何も成長しないということ。
同じ失敗を何度も繰り返してしまうのです。

フィードバックとは何でしょう?

その出来事がうまくいかなかった場合、
なぜうまくいかなかったのか?
その原因は何か?
何が足りなかったのか? 何を準備すべきだったのか?
二度と同じ失敗をしないためには、何を改善すべきかのか?
自分ができることは何か?
対策を立てて、行動にうつすということ。

そうすると、次に同じ失敗を繰り返すことがなくなり。
それが、「自己成長」です。

その出来事がうまくいった場合も同様に、
うまくいった理由を調べ、そこをさらに強化すると、
もっとうまくいくようになります。

「後悔」や「罪悪感」が生じるというのは、
「私はフィードバックしていません!」という宣言です。

「私はこの失敗から、何一つ学んでいません」
ということを自分で言っているのも同じです。

心理学的に言えば、
感情反応を呈することで、自分の心が傷つかないよう防御している
のでしょうが、
「後悔」や「罪悪感」にのみ込まれて、行動停止している。

結果として、
全くフィードバックしない人がほとんとです。

しっかりとフィードバックできているならば、
「次に同じシュチエーションに直面したときに、
うまく乗り切るためにはどうすればいいのか?」
という次のステージに頭は切り替わります。

「過去の失敗体験」が、
「学び」「教訓」「対策」にきちんと置き換えられるのなら
それは「悲しみ」ではなく
「喜び」であり「感謝」に変わるはずです。

タイムマシンはSF映画の世界にしか存在しませんので、
既に起こった過去の出来事は、絶対に変えられない。

そこに固執しても何も生まれないのです。

過去を変えられない以上、
未来を変えていくしかない。

同じ失敗をしない。
同じ過ちをしない。
自らに宣言し、必死に自己成長するしかありません。

とはいえ、
「後悔」や「罪悪感」に支配されて先に進めない人は多いものです。
それを、仮に「コペル君症候群」と呼びましょう。

「コペルくん症候群」とは、
大きな失敗をしたにもかかわらず、
感情反応で自分を誤魔化し、全くフィードバックをしないために、
後悔から逃れられず、同じ失敗を何度も繰り返すことです。

ミリオンセラー『君たちはどう生きるか』の主人公コペル君が
完全にこの状態に陥っているので、彼の名前から命名しました。。

彼は、友人がイジメられている場面に遭遇した時、
見て見ぬふりをしました。友人を見捨てた、ということ。

その後、ものすごく後悔し、罪悪感に苛(さいな)まれます。
猛烈に悩み、苦しみます。

そんなコペル君。
またもや友人がイジメられている状況に遭遇します。
コペル君は、どうしたでしょう?

なんと、またもやそれを見て見ぬふりをして、
友人を見捨てるのです。

なんてひどい少年でしょう。
そしてコペル君は、
前回同様に後悔し、罪悪感にさいなまれます。

なんの成長もないコペル君。

コペル君が、これだけ悩み、苦しみ、後悔し、罪悪感に苛まれているのに、
何一つ成長しなかったのは、どうしてでしょう?

それは、フィードバックをしていないからです。

なぜ自分は、友人を見捨ててしまったのか?
それに、どういう対処法があったのか。
次に向けてどのような準備をすべきなのか。
原因追求も対策もほとんどない。

だから、同じ失敗を繰り返したのです。

『君たちはどう生きるか』は、
私にとって2018年のワースト本、最悪本の一冊です。

それは、人間、思い悩むことで成長できる、
といった内容が示唆されているからです。

私は、これは完全に間違いだと確信しています。

頭の中だけで、1000時間悩んでも、
アウトプット(話す、書く、行動する)しない限り
現実は絶対に変わらないのです。

さらに失敗しても、フィードバックしないと、
同じ失敗を繰り返すだけです。

もちろん
「思い悩む」→アウトプット→フィードバック
は、爆発的な成長を引き起こします。

しかし、
「思い悩む」→終了
では、絶対に、絶対に、絶対に、成長などないのです。

『君たちはどう生きるか』では、
そんなことには全くふれられておらず、
「若い頃に、哲学や文学などを読んで思い悩むことで
自分の生き方を発見できる」といった趣旨のことが書かれています。

私は、完全に間違いだと思います。

正直、トンデモ本といってもいいくらい、
間違った生き方を示唆していると思います。

話は脱線しましたが、
「後悔」や「罪悪感」は、全て悪ではありません。

それをエネルギーにして、フィードバックを必死に
命がけで行うべきなのです。

友人を傷つけてしまったのなら、
あなたの人生で二度と友人を傷つけることのない。
そんな、人間なればいいのです。

その失敗は、
「今後、二度と友人を傷つけないよう頑張ろう」
という心の原動力になります。

もしできたなら、凄いことではありませんか?
どれだけの自己成長、人間成長でしょう。

ということで、失敗に固着、固執するのではなく、
失敗を学び、経験、対策、教訓に置き換え、
次のステップへと進んでいく。
貴重で、とてもありがたい体験が「失敗」なのです。

ある程度、フィードバックが習慣化されてきたならば、
改めて、心の中に引っかかっている出来事と向き合ってください。

同じ失敗を繰り返さないために、何をすべきか?
それを改めて考えてみる。

頭の中で考えるだけでは、コペル君と同じで何の意味もないで、
きちんと学び、経験、対策、教訓は、
文章として書き出して、きちんと行動にうつし、
定期的に見返すべきです。

悩んでいる暇があれば、それを一つでも実行する。
「あの時、〇〇すればよかった」ではなく、
「今、〇〇しょう!」と考える。
そして、行動する。

あなたは「後悔」の無限ループを周り続けているとするならば、
そこから脱出する唯一の手段が、「フィードバック」。

そして、新たなチャレンジ(アウトプット)
をしていかなくてはいけないのです、。

「インプット→アウトプット→フィードバック」を繰り返すことで、
爆発的な自己成長が生じる。

このサイクルをきちんと回していけば、
あなたは「後悔」や「罪悪感」から、一生解放されるのです。

追伸

今回の記事だけ読んでも、
「フィードバックって何?」という話になったかもしれません。

「フィードバック」については、
拙著『アウトプット大全』で詳しーーーーーく解説していますので、
今回の記事と合わせて、必ず読んで欲しいと思います。

『アウトプット大全』は、ビジネス書ではありません。
人生の必読書です。

早くも14万部突破!!
『学びを結果に変えるアウトプット大全』
(樺沢紫苑著、サンクチュアリ出版)
アウトプット大全表紙

 

 


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