書評/映画評

タクシー運転手 約束は海を越えて ~韓国で起こった虐殺事件!?

韓国映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』。

年に何本か見逃してはいけない凄い韓国映画があるが、
これはそんな一本。

 

タクシー運転手のキムは、一人のドイツ人を乗せてソウル、
光州を往復するだけで、10万ウォンがもらえる、
というおいしい儲け話に出くわす。

 

しかし光州では、
韓国現代史上最大の悲劇と言われる「光州事件」が勃発!

 

キムとドイツ人記者は、
信じられない軍の暴虐を目にすることに・・・。

 

実話を元にした物語。

 

そのまま映画にすれば、
殺伐としたノンフィクションにしかならないものを、
『グムエル』のソン・ガンホ演じる小心者のユーモラスな運転手によって、
ハートウォーミングな感動的な物語へと生まれ変わっている。

 

運転手がシングルファザーという設定もいい。
父と娘の心あたたまる関係が、映画にあたたかみを与えている。

 

運転手と記者との友情。
そして、彼らを助ける光州の人々の心優しさに、
ボロボロ涙が溢れてきた。

 

まさに、「魂を揺さぶられる映画」と呼ぶにふさわしい。

 

この硬派な社会的テーマを持った作品が、
2017年、韓国で最もヒットした作品。
韓国映画史上興行収入第10位というから凄い。

 

光州事件。軍と市民と衝突、といった話は知っていたが、
このような虐殺に近い行為が行われていたとは、ショッキングである。

 

とはいえ、この映画の素晴らしさは、この血なまぐさい事件を、
感動的なエッセンスを加えることで、光州事件の知られざる部分を、
現代の人たちに伝えたことであろう。

 

非常に骨太な作品であるが、
是非見ていただきたい映画でもある。

 

追伸
ただ、「流血」に弱い人は、ちょっとキツイかも。

 

樺沢の評価 ★★★★☆

とりあえず、予告編だけでも御覧ください。
https://klockworx-asia.com/taxi-driver/

 

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