書評/映画評

レミニセンス ~記憶にとらわれると、ろくなことにならない。

映画『レミニセンス』を鑑賞。
やっぱり自分は、デストピア的な近未来ものが好きなんだな、
と再確認させられた作品。

謎の美女メイに夢中になって、
彼女の捜索に全てをかけてのめり込んでいくチョーダメ男のニック。

普通だと「見てられない」ところですが、
『ローガン』の落ちぶれたウルヴァンリンのイメージ、
そのまんまのヒュー・ジャックマンのイメージと演技力で、
ニックが魅力的に見えるから不思議です。

過去の記憶をビジュアルで再現する。
「レミニセンス」(記憶潜入)を生業とするニックが、
謎の美女との運命的な出会いから、
大きな陰謀に巻き込まれていく・・・。

記憶を書き換える映画『インセプション』と似た話で、
映像的にも似ているところがあるのですが、
本作のプロデューサーは、
『インセプション』の監督クリストファー・ノーランの弟のジョナサン・ノーラン。

さらに本作の監督、脚本は、ジョナサンの妻でテレビシリーズ
『ウエストワールド』のクリエイターとして知られる
リサ・ジョイがつとめます。

『ウエストワールド』は、
最高におもしろいSFテレビシリーズでしたが、
本作も緊迫感のある展開で、2時間がアッという間。

そういえば、助手エミリーを演じるのは、
『ウエストワールド』で凄い重要な役がらを演じた、
タンディ・ニュートンでありました。

精神科医の私としては、
「依存症」のテーマがおもしろいと思いました。

謎の女メイは「薬物依存症」。
ニックの助手エミリーは「アルコール依存症」。

そして、ニックは「恋愛依存症」、
というか「記憶依存症」に陥っていくのです。

記憶というのは過去の体験。
「甘い思い出」をリアルな感覚とともに追体験できる
「レミニセンス」は、人を「過去の記憶」、
つまり「過去の出来事」のとらわれから
抜け出せなくなってしまうというわけ。

ラストは賛否両論、分かれるでしょうが、
バッドエンド好きの私としては、結構、好きです。

浅薄な娯楽作品とは違って、
いろいろ考えさせられる要素が盛り込まれた作品。

SF5映画というのは、このくらいひねくれて、
ダークじゃないといけないと思います(笑)。

ということで、非常に樺沢好みの作品。
単純明解な娯楽好きの方には、お勧めしません。

『レミニセンス』、樺沢の評価は・・・ ★★★★ (4・2)

『レミニセンス』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=cyl5T-8Y0KU

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