書評/映画評

あなたの生きづらさは、”昭和な呪い”のせい

『あなたの生きづらさ
“昭和な呪い”のせいでした』

というギョッとするタイトル。

ある種の「怖ろしさ」と「インパクト」を持った響き。
そして、「”昭和な呪い”って何だろう」という
疑問が湧いてきます。

本書を開くと、漫画パートが多数あって、
気楽に読める本であるとわかり、
ちょっと安心します。

“昭和な呪い”とは、
昭和的な価値観を押しつけてくる
会社の上司のプレッシャー。

あるいは、
親や家族などからのプレッシャーを
指します。

例えば会社であれば、
上司や先輩が、
「たまには一杯つきあえよ」
「先輩の言うことが聞けないのか」
「一般的には、こうだよ」
「長年こうしてきた」
「それが常識だ」
「言われたことだけ。やっていればいいんだ」
「気合いでやれ」
「死ぬ気でやれ」

親や親戚は、
「ご近所さんの手前」
「人に迷惑をかけてはいけません」
「結婚はまだ? いい人いないの?」
「早く孫の顔を見たい」
と言ったことよく言います。

「今時、そんな時代じゃないでしょ」
と反論しても、
昭和生まれの親や上司が、
簡単に考え方を変えるわけがありません。

そうした圧力が私たちにプレッシャーを
与え続け、「生きづらさ」の原因になっている。

それを本書では、”昭和な呪い”
という言葉で表現しています。

この表現に、最初はギョッとしましたが、
読み進めると非常に良い捉え方だと思いました。

「生きづらさ」を解消する本は山ほどでていますが、
昭和的な価値観、古い価値観を強要して、
子どもを操作しようとする親を
「毒親」と言います。

私は、大嫌いな言葉です。

自分の「生きづらさの原因は、毒親のせい」
と考えると、
親が死なない限り、
その支配から逃れることはできない・・・
と無意識に考えてしまうのです。

つまり、対応不能。対処不能。
その先にあるのは、絶望。
ストレス、うつ、からの自殺です。

しかし、
毒親ではなく、
自分の親も、そして自分も
“昭和な呪い”にかかっているだけなのです。

つまり、「呪い」だから、解くことができる!

その悩みは解消できる。コントロール可能である。
と非常に前向きなニュアンスが見えてくるのです。

「毒親」と比べて、”昭和な呪い”は、
対応可能、対処可能、コントロール可能
が、明示されている言葉なのです。

そして、”昭和な呪い”という言葉で、
原因を客観視しやすい。

自分は、呪いがかけられているだけなので、
自分自身は、単なる被害者だ、とわかりやすい。

「生きづらさ」を抱える多くの人は、
その原因が自分にあるのではないか・・・
と悩み、苦しみ、自分を責めるのです。

呪いなんだから「自分のせいではない」
ということがわかるだけて、
気分はもの凄く楽になりますね。

「呪い」だから、解けばいい。

ではどのように、
“昭和な呪い”を解除するのか?

それは、「書く」ということ。

いくつかの「自愛ワーク」をすることで、
自分自身と過去を客観視できる。

本来の自分を取り戻すことで、
呪いが解ける
・・・というわけ。

私の『感謝脳』でも、
いくつかの感謝ワーク、筆記ワークを行うことで、
感謝の気持ちが強化され、
あらゆるものへの感謝の気持ちが湧いてくる。
という仕組みになっています。

アウトプットは、自己洞察を進める。
アウトプットは、人を癒やすのです。

実は、「本書の帯」を書いています。

「アウトプットで呪いは解ける!」

アウトプットで、過去と決別できる。
アウトプットで、親との関係性を修復できます。
間違いないです!!

うちの親もそうですが、
高齢者の親や上司は、
昭和的なプレッシャーをかけてくるものです。

“昭和な呪い”は、
かなりの広範囲に、深く広がっています。

あなたも「生きづらさ」の原因を知りたい。
「生きづらさ」を解消したいと思うなら、
本書は、間違いなく役に立ちます。

『あなたの生きづらさ ”昭和な呪い”のせいでした』
(松尾知枝著、小学館)

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