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小室哲哉氏引退会見に思う  ~突発性難聴の危険性

小室哲哉氏引退会見に驚かれた人も多いのではないでしょうか。

「平成」を代表する音楽家と言っていいでしょう。

一時期は、ヒットチャートの上位を何曲も独占し、
小室氏の音楽を聞かない日はなかったほどです。

https://natalie.mu/music/news/265902

さて、小室氏の引退会見、
というか、究極の「自己開示」。

ここまで率直に自分の心中を、ありのままに語った記者会見を
見たことがありません。

そこまで言っていいのか、
というくらいのレベルです。

くも膜下出血を発症、高次脳機能障害の後遺症を呈した
妻、KEIKOさんの壮絶な介護の話は、心に響きました。

そんな苦労をされていたのか、と。

「くも膜下出血」の危険性については、丁度、
数日前のブログで書いたばかりです。
https://kabasawa3.com/blog/socialmedia/sudden_severe_heandache

「くも膜下出血」になると、後遺症なく回復するのは3分の1。
後遺症を残すのが3分の1。
死亡が3分の1ですから、ものすごく危険な病気です。

KEIKOさんの場合は、命は助かったものの、
脳機能障害の後遺症が残ったようです。

KEIKOさんの介護。詐欺罪での裁判。C型肝炎への罹患、骨折など、
様々なストレスが重なり、「突発性難聴」になったことが語られました。

>さらにストレスが原因で突発性難聴に。
>現在も左耳がほぼ聞こえず、常にキーンという耳鳴りがするという。
 
この「突発性難聴」という病気。
極めて危険な病気なので、注意を喚起する意味で、
今回詳しく解説しておこうと思います。

>現在も左耳がほぼ聞こえず、常にキーンという耳鳴りがするという。

音楽家として、「耳が聞こえなくなる」というのは、
致命的です。

反対側は聞こえているとはいえ、
いろいろと苦労が多いでしょう。

そして、厄介なのが「耳鳴り」です。

耳鳴りというのは、ただキーンと音がなるだけではありません。

耳鳴りがひどいと、
巨大なスピーカーで「キーン」という音が鳴っているかのように
耳の中で響くような、巨大な音で耳鳴りが響きます。

耳鳴りがひどいと、吐き気やめまいも出ます。

集中力がそがれ、全く仕事になりません!

なぜ私が、突発性難聴の「耳鳴り」にそんなに詳しいのかというと、




自分が「突発性難聴」になったことがあるからです。

医者になって3年目の頃(28歳)、
ですから、今から24年前の話です。

私は精神科医として病院に勤める勤務医でした。

勤務医というのは、勤務時間に拘束され、ほぼ毎日残業ですから、
サラリーマンと変わりません。
 
午前中は外来で数十人の患者さんを診察し、
午後からは病棟の患者さんを診察し、
さらに救急病棟や内科病棟からも呼び出される。

患者さんと話している間にも、緊急の電話が鳴ります。
5時で診療が終わっても、その後、病院内の会議や委員会に出席し、
診断書や退院病歴などの書類が山程ある。

それが終わって、やっと一息ついたところで、
本や学術論文を読み、さらに論文を書くなど、
自分の「勉強」をはじめるのです。

帰宅は11時過ぎ。
一日14時間労働、終電間際の帰宅があたり前です。

そんな地獄のような多忙な生活をしているある日、
目が覚めると強い耳鳴りに襲われました。

疲れがたまっているのだろうと放置していたら、
日に日に耳鳴りが強くなり、
やがて片耳は音がほとんど聞こえなくなりました。

耳鳴りが出現して4日後。
あわてて耳鼻科を受診すると、
「蝸牛リンパ水腫」(突発性難聴の類縁疾患)と診断されました。

「原因は何ですか?」と尋ねると、
「ストレス」です、と言われました。

なんと精神科医が、ストレスで病気になってしまったのです!!

耳鼻科医は言いました。

「このまま放置すると、耳が聞こえなくなることもありえます」。

この言葉に私は、衝撃を受けました。

「やばい! なんとかしないと」。

ステロイドという非常に強い薬の投与を受けました。

幸いにも、受診が早かったせいか、
後遺症なく、完全に治りました。

しかし、その後、毎年冬になると、
耳鳴り出現し、「蝸牛リンパ水腫」の徴候が現れては、
耳鼻科を受診しては、薬を飲んでいました。

10年くらい、「耳鳴り」の恐怖と戦いました。

睡眠、運動、食事と、圧倒的に体質改善した今は、
「耳鳴り」は完全になくなりました。

私の診断名は、「蝸牛リンパ水腫」。
浜崎あゆみさんと同じ病気です。

正確にいうと、「突発性難聴」の類縁疾患。

原因など微妙に違うようですが、
ほぼ「類似の疾患」と考えていいでしょう。

「突発性難聴」は、
早く治療を開始すれば根治しますが、
放置しておくと、耳が聞こえなくなるのです。
↑↑↑↑
これは覚えておいた方がいいと思います。

具体的な期間でいうと、
2週間以上、治療せずに放置してしまうと、
「難聴」が治らない可能性が極めて高まります。

完全に聞こえない、とまで行かなくても、
軽度の難聴を後遺症として残すこともあります。

ちなみに、「突発性難聴」の予後ですが、
難聴が完治するのは、3分の1。
難聴・耳鳴りなどの後遺症が残るのが、3分の1。
改善しないのが、3分の1。
ということです。

「突発性難聴」になったら、
難聴が完治する人は、たったの3分の1です。

偶然にも「くも膜下出血」の後遺症なく根治する割合と同じです。

「2週間」というのは、結構、あっという間です。

「最近、なにか耳鳴りがするなあ」と思って、我慢していると、
あっという間に「2週間」が立ちます。

医者によっては、「2週間」ではなく、「48時間」以内、
という人もいます。

とにかく、「耳鳴り」「難聴」が出たら、
可能な限り、早く耳鼻科を受診することです。

私の場合は、4日目で受診したので、
何とか後遺症なく治りましが、
非常にラッキーだったと言えるでしょう。

注意すべきは、「突発性難聴」というネーミングです。

「突発性難聴」が与えるイメージは、
「突発的に難聴が起きる」ということ。

しかし、私の場合は、、
聴覚検査で低音域の軽度の難聴は認めたものの、
自覚症状的には「耳鳴りがうるさい」方が圧倒的で、
「難聴」という自覚は全くありませんでした。

ですから、耳鼻科医から
「突発性難聴の類縁疾患の蝸牛リンパ水腫です」
と言われたときは、非常に意外だったのです。

「突発性難聴」は、必ずしも「難聴」がメインに出るとはかぎらず、
耳鳴り、めまい、耳の閉塞感などが主症状として出る場合もあるのです。

「耳が全く聞こえない」となれば、誰でも耳鼻科を受診するでしょうが、
「耳鳴り」や「めまい」だと、つい我慢してしまう人が多いのです。

また、「突発性難聴」は基本的に、片耳で発症します。

原因は「不明」です。
ウイルス説もありますが、「ストレス」の影響が一番大きいようです。

つまり、
「仕事が忙しく、ストレスがかかっている状況で、
 片耳の調子がおかしい、となればすぐに耳鼻科を受診した方がいい」
ということです。

「突発性難聴」の発症率(年)は、3,000人に一人です。
患者数は、年間35,000人といいます。

3,000人に1人というと、確率が低そうですが、1年間での確率。
仮に30年とすると、100人に1人ということになります。

「突発性難聴」は、ものすごくありふれた病気。
あなたも、なる可能性が十分にあります。

繰り返しますが、
とにかく早期受診することで、
後遺症なく完治する率が高まりますから、
よく覚えておいてください。

さて、ある日、突然、「難聴」になった私は、
今まで医者をしながら、多くの患者さんと接しながら、
「仕事をし過ぎると病気になる」という
当たり前のことを忘れていたのです。

「忙殺」という言葉がありますが、
仕事に忙殺されると、「心」を「亡」くして、
病気になって本当に殺されてしまうのです。

「難聴」を診断された日から、私は生き方を変えました。

仕事中心の生き方を改め、もっと自分らしく生きよう、
と決意しました。

そして、時間の配分、時間の使い方を根底から見直しました。
健康に悪い習慣を改め、健康に良い習慣について勉強し、
それを徹底して実行するようにしました。

結果として、現在の健康で、活発で、絶好調の自分がいます。

不幸中の幸い。
というか、「災い転じて福となす」。

「医者の不養生」を脱して、
真に「健康の重要性」に気づけたのは、本当に貴重な体験でした。

ですから、このように「健康の重要性」を
多くの人に伝えたいと思い、メルマガやFacebookやYouTubeを
やっているのです。

小室氏も、ひどい「耳鳴り」があるとれば、
作曲どころではないでしょう。
音楽を聞くだけでも大変だと思います。

今回の「引退」宣言も、
精神的、身体的に音楽活動ができる状況ではない、
もっと自身の健康やストレス管理に専念したい、
という思いの現れかもしれません。

是非、心と身体を回復させて、
気持ちに余裕が出たら、
音楽活動を再開して欲しいと思います。



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