書評/映画評

傲慢と善良 ~結婚がうまくいく究極の秘訣は?

よく編集者の人から、
誰か対談したい人はいませんか?
という質問をいただきます。

 
「特にいません」と答えることが多いのですが、
今その質問をされたなら、
0・1秒で
「辻村深月さん」と答えたい!!

 
まあ、会ってくれないでしょうけど(笑)。
 
アニメ『かがみの孤城』を見て、
すぐに原作を読み始めた。

 
この一冊を書くのに、
どれぼとのインプットをしたのだろう・・・。
 
不登校の心理に、精通しすぎている!!
と驚かされました。

 
勉強して理解できる領域を
超えているのです。
 
今回の
『傲慢と善良』。

原作、辻村深月。
100万部越えの、大ベストセラー。
 
『かがみの孤城』とは全く違ったテイスト。
しかし、「時代をとらえている!」点は、
共通しています。
 
婚活。
婚活アプリという、
最新の設定を取り入れながら、
人間関係の本質を貫いている!!
 
この人は、
どんな観察眼で、
今、この一瞬の現実を観察しているのだろう?
 
私も、誰にも負けない水準で観察している
自負はありますが、とうてい及ばない。

 
原作はこれから読みたいと思いますが、
「原作を読みたい」と思わせる映画は、
既に成功! でしょう。
 
傲慢と善良。
この方程式から導かれた解は「謙虚さ」。

最初から謙虚に生きればいいのに、
人はそれができない。
 
私も50歳すぎて、
ようやく「謙虚さ」の意味が分かってきた。

昔の自分の「傲慢さ」と「自己中」レベルが、
今思うと恥ずかしい。

本作の人物もそうだし、みんなそうなんだ。

若いうちは、みんな「傲慢」だ!
「傲慢」でいいと思う。

傲慢さから学び。
成長する伸びしろが、
たっぷりあるということだから。

この「みんなそう」は、
言葉で言うのは簡単だけども、
言い替えれば、究極の「共感」。
 
「みんなそう」思っている心理(=真理)を、
共感されるように描き出すのは、
極めて困難だ。

本作は、凄い「ピュア」だ!

それが、今の時代性にマッチしている、
というのは発見であり驚き。
 
でも、本作に共感し、涙できる58歳は、
意外と時代についていけているのか・・・(笑)。

私が精神科医+個人的な経験から導いた
「結婚がうまくいく究極の秘訣」は、
「相手の一番嫌いなところを赦せるか」
です。

相手の良いところ。
スペックや条件を見て決める限り、
結婚生活は、必ず失敗すると言っていい。

相手の一番ダメな部分と向き合えるのか。
それを「赦す」「受容する」ことが、
できるのかが、
結婚生活においては、極めて重要です。

本作でも、最後には
「相手のネガティブな部分」を
受容できるのか? できないのか?
にフォーカスがいきます。

その部分が、とても良かった。

殺伐とした映画や小説が
多いこの時代。

とても幸せな気分で劇場を出られた。
心に染みる良い作品だ!

『傲慢と善良』樺沢の評価は・・・・・・★★★★ (4・4)

『傲慢と善良』
予告編は、コチラから

https://youtu.be/OusWAswTcnI

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